藤井定美(66=群馬)が現役を引退した。ラストランは8R1枠。インからコンマ15のトップスタートを決めて逃げ快勝で、有終の美を飾った。大勢の仲間に迎えられてピットへ帰投。長きにわたり苦楽をともにした吉田稔から花束が贈られた。

引退の理由のひとつに視力の低下があった。「ナイターだと大時計の針が見えにくくなって、スタートが思い切って行けなくなった。スタートを行かないと勝負にならないし、ストレスがたまってね」。印象に残るレースには95年12月に地元桐生で8連勝の完全優勝を飾ったことを挙げた。「ひとつ前の児島周年の最終日に連勝してね。10連勝をできたことは、いい思い出になりました」。

ラストランを終えて、群馬支部の面々を中心に水神祭。長年の労をねぎらわれた。「やるだけのことはやったし、悔いはない。幸せですよ」。76年5月14日、桐生でのデビュー戦から約45年。穏やかな物腰で常に紳士然とした上州の名バイプレーヤーが、笑顔でレーサー人生を終えた。