得点力不足に苦しんできた湘南ベルマーレに待望の点取り屋が現れた。

FW町野修斗(22)が26日の京都戦で値千金の決勝ゴールを挙げた。0-0の後半42分、縦に抜け出したDF畑の左からの折り返しを落ち着いて右足で蹴り込んだ。最近5試合で6得点と絶好調。今季のゴール数をリーグ2位タイの8点に伸ばした。得点を決めた最近4試合は全勝。チームは15位に浮上してJ2降格圏から今季初めて抜け出した。

湘南でJ1年間8得点以上は、10年のFW阿部吉朗(9点)以来12年ぶり。絶対的なストライカーがいなかったことが明らかになる記録で、2桁得点は98年のFW呂比須ワグナー(18点)までさかのぼる。後半戦最初の試合で8ゴールに到達した新エースへのマークはより厳しくなるかもしれないが、チーム24年ぶりとなる年間10得点以上の早期達成の期待も高まる。

身長185センチと高さがあり、ポストプレーも光る。今季の8得点は利き足の右足が3点、左足が3点、ヘッド2点と器用に量産。チーム全16得点の半分を今季台頭のFW1人が占める。本人は「ボールが集まるようになったし、町野に出せば決めてくれるというような印象を味方に与えられている」と言う。

チームは守備の時間が長く、ボール保持率はリーグで2番目に低い45%。それでもシュート数は6番目に多い189本を数え、2連覇中の王者川崎Fの183本を上回る。鋭いカウンターで効率良くフィニッシュにたどり着いていることがわかるデータだが、最後に決定力を発揮しているのが22歳の新進気鋭ストライカー。このままの勢いなら、国内組だけで臨む東アジアE-1選手権(7月19~27日)の日本代表に選ばれても不思議はない。

【石川秀和】

<湘南(平塚時代含む)のJ1シーズン最多得点>

94年=24点 ベッチーニョ(37試合)

95年=25点 ベッチーニョ(50試合)

96年=11点 野口幸司(27試合)

97年=18点 呂比須ワグナー(27試合)

98年=18点 呂比須ワグナー(29試合)

99年=4点 バデア(12試合)外池大亮(24試合)小松原学(25試合)

10年=9点 阿部吉朗(34試合)

13年=4点 高山薫(32試合)永木亮太(33試合)

15年=7点 高山薫(33試合)

16年=4点 高山薫(33試合)端戸仁(20試合)

18年=7点 菊地俊介(26試合)

19年=5点 武富孝介(18試合)山崎凌吾(31試合)

20年=6点 石原直樹(27試合)

21年=6点 ウェリントン(26試合)

22年=8点 町野修斗(16試合)

◆町野修斗(まちの・しゅうと)1999年(平11)9月30日生まれ、三重県伊賀市出身。履正社高から18年に横浜に加入。19年に当時J3の北九州に期限付き移籍し、30試合8得点と活躍。チームのJ2昇格とともに完全移籍し、20年は32試合7得点。21年に湘南に移籍して31試合4得点。17年にU-18日本代表候補に入ったことはあるが、世代別日本代表の出場歴はない。185センチ、77キロ。

(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「データが語る」)