横浜がJ1優勝に王手をかけた。今季はここまで加入1年目の選手の活躍が目立ち、4-0で快勝した1日の名古屋戦では出場16人中5人。徳島から加わったMF藤田譲瑠チマが移籍後の初ゴールを挙げ、今季の得点者は16人目となった。そのうち期限付き移籍からの復帰組を含めた7人が今季の新加入選手だ。

FW西村拓真(仙台)とFWアンデルソン・ロペス(武漢)がともに9ゴールを挙げるなど、チームの63得点のうち今季加入選手だけで23点。昨季のJ1得点王でスコットランド1部セルティックに移籍したFW前田大然(昨季23得点)の穴を数字の上でもカバーしている。

チーム最多得点は加入2年目のFWレオ・セアラで11点。20ゴール以上を決める絶対的なエースストライカーが不在でも、得点者は現時点で昨季の13人から16人に増加。選手層は厚みを増し、どこからでも点を奪えるのが強みになっている。

3連覇を目指す2位の川崎Fも横浜と同じく16人がゴールを決めているが、新加入選手の得点はルーキーのDF佐々木旭(流通経大)の1点だけ。16人中15人が昨季からの所属選手で、36歳のFW家長昭博がチーム最多の11得点と、既存の主力選手の奮闘が目立つ。ただ、けが人も多い上、昨季途中までプレーしたMF三笘薫とMF田中碧、今冬に移籍したMF旗手怜央の抜けた穴を埋めるような新戦力の台頭は少ないのが現状だ。

一方の横浜は昨季までの主力が多く移籍し、新型コロナウイルス感染による離脱や故障が絶えなかった中でも各ポジションで新戦力が活躍。DFティーラトンが抜けた左サイドバックをDF永戸勝也(鹿島)、DFチアゴ・マルチンスのセンターバックもDFエドゥアルド(鳥栖)が埋めた。

中盤ではMF扇原貴宏、MF天野純の代わりに加わったパリ五輪世代の20歳MF藤田が躍動。試合を重ねるごとに既存の戦力との連係を深めており、チームとしての伸びしろもまだありそうだ。

次節8日のG大阪戦に勝利し、川崎Fが清水に引き分け以下となれば、3試合を残して優勝が決まる。今季の得点はリーグ最多の63点、失点も最少の30点。昨季ほどの爆発力はないものの、攻守ともに安定感を増す横浜が、3年ぶり5度目のJ1制覇を成し遂げようとしている。【石川秀和】

横浜FW西村拓真(2022年8月18日)
横浜FW西村拓真(2022年8月18日)
横浜アンデルソン・ロペス(22年2月18日撮影)
横浜アンデルソン・ロペス(22年2月18日撮影)