AKB48グループ総監督の横山由依(25)は、活動のキーワードに「人とのつながり」を挙げた。「自分にはうまくいっているように思えても、見る角度によって違うこともある。先輩、後輩やスタッフさんなど、いろんな方に話をうかがうようにしています」。

 責任感の強さと真面目な性格を買われ、15年12月に初代総監督の高橋みなみ(27)からその座を受け継いだ。自らもメンバーでありながら、国内グループだけで400人を超える若い女の子たちをまとめる。「プレッシャーはかなりありました。最初の頃は、毎日泣いてましたね」。

 05年12月の結成から13年目を迎えるAKB48は16期生までおり、年齢も小学生から20代後半まで幅広い。メンバーの卒業と加入を繰り返し、まだ無名だった頃を知る者と、逆に有名になったAKB48に憧れて入ってきた者が入り交ざった状態。当然、グループへの考え方も異なる。「1つになりづらいなというのはありました。それぞれ個々の夢がある女の子が集まっていて、女優や歌手などの目標に向かいつつ、グループとしてこうでありたいというのがある。その両方がうまくいくのが理想ですけど、バランスは難しい」。

 最近は「AKB48のピークは過ぎた」とささやかれることも増えた。進むべき道はどこにあるのか。導いた答えは「原点回帰」だった。「もう1度、東京ドームでコンサートをやりたい。その目標を全員の共通認識で持つ。先輩たちは東京ドームを目標にずっと頑張って、実際に(12~14年に)そこに立った。それ以降はしばらく目標がなくて、もやっとしているところがあった。私は『夢を持った女の子たちが秋葉原から羽ばたいていく』というキャッチコピーにひかれてAKB48を受けました。もう1度、それなんじゃないかなと思う。ただドームに立てればいいわけでもなくて、そこにふさわしくなるために、普段から個人の活動でもグループを背負っている自覚を持ってやらないといけない。全国の方に聞いてもらえる曲があって、その中で立つ東京ドームに意味があると思う」。

 日本代表のワールドカップ初戦コロンビア戦は6月19日。その3日前の16日には、初めて海外グループも参加する「第10回AKB48選抜総選挙」を迎える。このグループ最大のイベントで一足先に世界との戦いに臨むなど、まだまだ総監督としての仕事は尽きない。「まだ何年やるか分からないですし、変えたいところもいっぱいある。総監督をやっていなかったら、こんなにも泣いたり、悩んだりすることはなかった。総監督だからいろんな方と話をさせていただけたり、名前を少しでも知っていただけたことも実感している。もっと力をつけて、支えてくれた皆さんにいつか恩返しができたらいいなと思います」。【松尾幸之介】