最近のJリーグで疑惑の判定が続いている。

 3月31日の「川崎フロンターレ対サンフレッェ広島」「鹿島アントラーズ対コンサドーレ札幌」、4月6日の「セレッソ大阪対サガン鳥栖」。川崎Fは、試合終了間際の同点ゴールがオフサイドの判定となり幻に。ゴールラインに広島のDFが残っており明らかにオフサイドに見えなかったが、判定は「オフサイド」だった。

 札幌は、FW三好康児のシュートがペナルティーエリア内の鹿島DF昌子源の手に当たった。映像で見返すと、どう見ても「ハンド」だが、審判は笛を吹かなかった。さらに、審判に抗議した三好にイエローカードが出されてしまった。

 鳥栖も、ペナルティーエリア内でC大阪DF木本の手にボールが当たっているように見えるが、こちらも笛はふかれなかった。

 審判も人。完璧でないのは分かる。だが、ここまで勝敗や得点に絡む「疑惑判定」が続くと、ビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)の導入を考えなければいけない時期に来ていると感じる。

 欧州では既に、ドイツ、イタリアでVARが導入され、スペインとフランスでも来季からの導入が決まっている。プレミアリーグ以外、欧州の5大リーグはVARが導入されるのだ。そして、ワールドカップ(W杯)ロシア大会でもVAR導入が決まっている。

 静岡支局時代、カメラマンとしてJリーグの試合をゴールライン際で撮影していたが、コーナーキックなどセットプレーの際、審判の見えない位置で「相手の手首をつかむ」「こっそりユニホームを引っ張る」などの攻防が繰り広げられているのをレンズを通して見た。

 また、ライン際のボールキープのシーンでは、相手に背中を軽く押されただけの選手が、顔を押さえて悶絶の表情を浮かべて倒れる姿を見たこともある。

 W杯ロシア大会でのVAR導入によって、セットプレーでの守備もより慎重にならざるを得ないだろう。ある関係者は「ロシア大会のVARの結果次第では、セットプレーの守り方も変わってくるかもしれない」と話す。

 実際に日本代表でも、フランス遠征のブラジル戦でVARが導入され、DF吉田麻也がペナルティーエリア内でファウルを取られ、PKを献上したのは記憶に新しい。審判が見えていなくても、カメラは見ているのだ。誤審を防ぐことに加え、世界舞台の基準に慣れる意味でも、日本でもいち早く導入する必要があると感じている。【岩田千代巳】

 ◆岩田千代巳(いわた・ちよみ) 95年、入社。主に文化社会部で芸能、音楽を担当。11年11月、静岡支局に異動し初のスポーツの現場に。13年1月から磐田を担当。15年5月、スポーツ部に異動し主に川崎F、湘南担当。