<アジア大会・サッカー:日本12-0ヨルダン>◇女子1次リーグB組◇18日◇韓国・南洞ラグビー場

 MF澤以来3年ぶりの1人3発だ。今大会初先発のなでしこジャパン(FIFAランク3位)FW菅沢優衣香(23)が前半だけでハットトリック。ヨルダン(同53位)に大勝し、初勝利を飾った。MF阪口夢穂(26)も自身2度目の3得点をマーク。決勝トーナメント進出をほぼ手中にした日本は、首位通過をかけて22日最終戦で台湾(同38位)と対戦する。

 初戦で中国とスコアレスドローだった日本が、うっぷんを晴らすゴールラッシュを決めた。その中心に菅沢がいた。前半12分、MF川澄からの右クロスを打点の高いヘッドでたたき込むと、39分にはFW吉良のヘッドがゴールポストに嫌われたところを再び頭で押し込んだ。前半41分には、吉良のシュートを相手GKがはじいたところに詰め、流し込んだ。前半だけでハットトリックを完成させた。

 同い年のFW高瀬が中国戦で左足首を負傷。1次リーグ中の復帰が絶望的となり、出番が来た。「まず3点。タカ(高瀬)の分も合わせて6点を狙ったけど…」と笑いながら、11年7月1日のW杯メキシコ戦の澤以来1175日ぶりの1試合3発を喜んだ。史上19人目、通算42回目の記録に「澤さん以来?

 何て言ったらいいんですか(笑い)。でも代表で結果を出すことはFWとして大事だし、なかなかできることではないので」と納得した。

 苦難を乗り越えた。12年ロンドン五輪直前の4月に左膝前十字靱帯(じんたい)を損傷した。診断は全治6カ月。「もしかしたら、あの場に立っていたかもと思うと悔しかった」。世界大会出場の夢を絶たれた分、15年W杯カナダ大会出場への思いは強い。膝回りの筋肉を強化し「外から見ていて、こうした方がいいかなとか考えていた」とプレーのイメージを膨らませた。5月のアジア杯は無得点だったが、佐々木監督が底上げをテーマに掲げる大会で結果を出した。

 約6年ぶりのチーム2ケタ得点の起爆剤となり、阪口3点、吉良、川澄が2点で続いた。4人が複数得点のお祭り騒ぎは、主力と控え組が融合しての大勝だ。1次リーグ首位通過へ「今日はもっと点が取れた。反省を生かし、台湾戦でさらに多く得点したい」。代表生き残りへ、菅沢の爆発力がFW争いを激化させる。【木下淳】

 ◆菅沢優衣香(すがさわ・ゆいか)1990年(平2)10月5日、千葉県生まれ。柏台ジュニアSC、美浜FC、FC葛西、FC千葉なのはな、千葉SCレディースU-15、JFAアカデミー福島を経て、08年に強化指定選手として新潟でプレー。09年に新潟入り。10年に代表デビュー。13年に千葉に移籍。168センチ、64キロ。兄の孝也もアルビレックス新潟シンガポールでプレーしていた。

 ◆なでしこジャパンの国際Aマッチ1試合12得点

 06年11月30日のヨルダン戦(13-0)以来8年ぶりで、史上11位タイ。佐々木則夫監督が就任した08年以降では、08年5月31日の台湾戦で記録した11点を上回り最多となった。