サウジアラビア戦について、選手はW杯本番へのアピールの場と思っていたようだが、アピールできた選手は1人もいなかった。日本は失うものはないから、攻めなきゃいけないのに、チャンスはセットプレーだけ。結局、日本は日替わりヒーローなんだ。原口、久保、浅野、井手口…。オーストラリア戦で活躍した浅野や井手口もこの日は出来が悪かった。コンスタントにプレーし、得点できる本物の「軸になる選手」が不在。メッシやロナルドとまでは言わないが、チームの「ナンバーワン」がいない。

 吉田、長友、酒井宏はコンスタントにプレーしているが、彼らを脅かす控えがいないことも事実で、それはそれで問題だ。彼らも人間で、所属クラブで不本意な故障をする可能性だってあるのだから。(日刊スポーツ評論家)

 ◆セルジオ越後(せるじお・えちご) 72歳。Jリーグ開幕やW杯米国大会アジア予選を控えて日本のサッカー熱が高まった93年4月、日刊スポーツ評論家に。以来、明快な解説と熱い提言を続ける。サンパウロ生まれの日系2世で18歳で名門コリンチャンスとプロ契約し、ブラジル代表候補に。72年に来日しJ2湘南の前身の藤和不動産でプレーした。