20年東京五輪で指揮を執る森保一監督(49)が就任2戦目で初勝利を挙げた。U-20(20歳以下)日本を率いてU-23北朝鮮と対戦し、4-0で快勝。敗れた9日のU-23タイ戦から先発10人を入れ替えて中1日で修正し、前半5分の先制点を皮切りにゴールを重ねた。守っては初完封で1勝1敗とし、15日の順位決定戦進出が決定。13日のタイ-北朝鮮の結果次第で決勝か3位決定戦に進む。

 森保監督が、東京五輪への第1歩となる初勝利をつかんだ。感慨を尋ねられると「特にないです」と照れたが、すぐに「でも…」と言葉を続け「いろんな思いがあった。6日(森保ジャパン始動日)に集まって新たなチームとして立ち上がり、選手とスタッフで最善の努力をしてきた。結果が出て良かった」と仲間のことには心から喜んだ。

 前半5分、MF長沼が先制した。「1年半お世話になったので、やりたいことは分かる」という広島時代の教え子から右足でV弾を贈られると、15分には法大の35年ぶり総理大臣杯優勝の立役者、FW上田が頭で2点目。37分にMF井上、後半11分に再び上田が決めた。代表経験ゼロの上田を先発に抜てきし、2発デビューと能力を引き出した。

 9日の初陣U-23タイ戦は1-2の黒星発進。森保監督は3-6-1システムそのままに、先発10人を入れ替えた。負ければ1次リーグ敗退の危機も「23人でタイに来ている」と初戦ベンチ組を信頼。攻撃陣には「勇気を持ってプレスを外し、組み立てにトライしてほしい」。速攻、サイド攻撃、ワンタッチの連係、そして縦に速いパス。わずか5日間の練習で一通り意識させた形で4点を奪った。

 守備陣にはタイ戦の失点場面を映像で示し「勝負の肝の場面でチャンスを与えないように」。練習で「中を締めろ」と叫び、中1日で立て直して初完封。後半43分からは今大会3種類目の陣形3-5-2もテストした。期待膨らむ勝利にも「北朝鮮は主力4人がA代表(東アジアE-1)で不在。本来の力ではない。次戦へ、もう次のステップアップへ気持ちが向いている」。らしく謙虚に、初勝利を東京への通過点にした。【木下淳】