日本(FIFAランク55位)が2大会ぶりの優勝に王手をかけた。今季JリーグMVP&得点王のFW小林悠(30=川崎フロンターレ)が代表10試合目、DF昌子源(25=鹿島アントラーズ)が同9試合目で初ゴールを記録。DF植田、山本、三浦、FW土居の4人も代表デビューを果たすなど、2-1で中国(同60位)を下した。2連勝で首位を守った日本は、16日に1勝1分けの韓国(同59位)と対戦し、引き分け以上で優勝が決まる。

 小林が待望の代表初ゴールを挙げた。0-0で迎えた後半39分。FW川又のシュートのこぼれ球に飛び込んだ。相手GKと五分五分のボールを奪うと、粘って反転しながら左足でシュート。ボールは狭い空間を通ってネットに突き刺さった。「ゴールは見えてなかったけど感覚で流し込みました」。取材エリアで川又から「オレのシュートが悠(小林)」と突っ込まれ、照れ笑いを浮かべた。

 試合中、シュートの場面では常に「入る時は入る、入らない時は入らない」と一喜一憂しないことを心がける。前半4分、6分と立て続けにシュート。枠をとらえられず「今日は自分の日じゃないかな」と思ったが、めげることなく打ち続けた。この日5本目のシュートが得点につながり「何とか最後、決められて良かった」と話した。

 所属の川崎Fでは昨季まで右FWでプレーしていたが、今季は1トップが主戦場となった。リーグで得点王に輝き、チーム初タイトルに貢献した。中国戦でもクラブ同様、1トップで先発起用された。「川崎でやっているのは大きかった。1トップのイメージができていた」と話した通り、ヘディングでの競り合いやポストプレーで好機を演出した。ハリルホジッチ監督も背後への抜けだしや守備を評価し「かなり高いレベルで次への候補に入る」と太鼓判を押した。

 代表は今年3月のW杯アジア最終予選タイ戦の追加招集を最後にメンバーから遠ざかっていた。常に「自分は序列が一番下」と分析しながらも「(所属)チームで結果を残せば(代表に)つながる」と向上心を持ち続けた。アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)などタフな戦いを経て成長した。今季掲げた目標は「タイトル」「得点王」「代表での得点」。有言実行の姿勢を貫けば「一番下の序列」から一気にロシアまで駆け上がるかもしれない。【岩田千代巳】

 ▼A代表年長初ゴール 川崎FのFW小林悠が、12日の中国戦で国際Aマッチ初得点。30歳80日での初得点は日本代表史上5番目の年長記録。11年10月11日のタジキスタン戦でDF駒野(磐田)が記録した30歳78日を抜いた。