日本代表バヒド・ハリルホジッチ監督(65)がインタビューに応じ、W杯(ワールドカップ)イヤーの18年、成功への鍵を語った。15年3月の就任以来、日本サッカーの発展と地位向上を願い、歯に衣(きぬ)着せぬ発言を続けてきた。6月14日に開幕するW杯ロシア大会で決勝トーナメント進出へ-。日本サッカーに「島国根性」を捨て去るよう求めた。

 誤解は恐れない。言うべきことは言う。ほぼいつも言い過ぎるが、それがハリルホジッチという人。晴れのW杯イヤー。年頭に選手に求めるのは「W杯に向けた精神、W杯マインド」。そのためのメッセージもズバッと直球だった。

 「日本はこの島国の中に閉じこもって、その中で見えているものに満足してしまっている印象も受ける。日本のことを見下してはいない。ただ、欧州を見れば違うサッカーをプレーしている。たとえばパワー、スピード。そこに違いがある。日本人はテクニックがあるという評価があるが、スピードに乗って相手がいるところで発揮できて初めて、テクニックと言える」

 就任から間もない15年4月。選手の体脂肪率に警告を発したが、いまだ国内組は合宿のたびに基準値とする9~10%を上回る。「体脂肪率が高ければ、その選手は戦う準備ができていないということ。W杯レベルでは、少なくとも戦えない」。海外組はほぼ全員がクリアしている。選手が足りなくなるから呼んできたが、W杯に行きたければ絞り込めと再警告。ここにも「島国の常識」をあらためさせる必要が出ている。

 昨年11月の欧州遠征で外した本田、岡崎、香川の3人のW杯行きについてはこう言った。「他の選手同様、W杯に向けての候補。ただ、まだ満足いくレベルではない。本田や香川に対して、メディアもイメージを作っているが、私はパフォーマンスのみを見ている」。絶大な信頼を寄せる長谷部主将もけがでプレーできなければ、当然呼ばないつもりだ。

 ここから、1次リーグで対戦するコロンビア、セネガル、ポーランドの過去4年分の映像をチェックし、同時に選手選考も進めていく。すべては「日本代表が果敢に戦い、ベストを尽くす。(国民の)みんなが誇りを感じられるようなチームに」するため。日本への厳しさは愛情の裏返し。集大成ともいえる仕事に取りかかる。【八反誠】

 ◆バヒド・ハリルホジッチ 1952年5月15日、旧ユーゴスラビアのボスニア・ヘルツェゴビナ生まれ。現役時代はフランス1部で2度の得点王になったFW。旧ユーゴスラビア代表として82年W杯スペイン大会に出場した。引退後はパリサンジェルマン、リールなどで監督を歴任。コートジボワール代表監督も務め、14年W杯ブラジル大会ではアルジェリアを率い16強に導いた。フランス・リールの自宅に愛妻と家族、愛犬コスモを残して日本では1人暮らし。シャンパンへのこだわりが強い。