【アンマン8日=松尾幸之介】なでしこジャパン(FIFAランク11位)が4-0でベトナム(同35位)に圧勝し、アジア杯2連覇へ好発進した。明日10日の韓国戦に勝てば、1次リーグ(L)B組2位以内が確定し、8大会連続のW杯(ワールドカップ)出場が決まる。引き分け以下に終わると1次リーグ敗退の可能性も高まる重要な一戦。日本の将来の行方を担うターニングポイントとなる。

 本当の戦いは、ここから始まる。一夜明けた8日はベトナム戦の先発メンバー以外の選手12人が約1時間半、ミニゲームなどで調整。練習前には円陣を組んで気合を入れるなど、戦闘ムードも高まってきた。

 ベトナム戦ではFW岩渕の全4得点に絡む活躍などで大勝したが、選手らの表情に笑顔はなかった。DF鮫島は韓国戦へ向け「初戦とはかなりギャップの大きい戦いになる」と警戒した。

 ベトナム戦後に行われた同組の韓国-オーストラリア戦は引き分けに終わったが、局面での体のぶつかり合いは激しく、パススピードも速い。特に日本を世界ランクで上回る6位のオーストラリアは終始試合を支配し、多くのチャンスをつくった。決定力を欠いて落胆するオーストラリアの選手と、勝ち点1を拾ってガッツポーズする韓国の選手の対比がこの組の様相を表す。FW川澄はこの結果を受け「初戦の難しさはあるので、意外ではない。(韓国戦の)結果次第で3戦目の戦い方も変わってくる。とにかく勝つことを意識してやっていきたい」と気を引き締めた。

 W杯切符をつかむには、韓国に勝てばいい。分かりやすい条件だが、引き分け以下に終わると、1次L突破にはB組最強とみられるオーストラリア戦での勝利が必須になってしまう可能性がある。B組3位→5位決定戦勝利でのW杯出場権獲得も狙えるとはいえ、前回王者として見据えるのは優勝のみ。高倉監督は「(次戦に)全てをぶつけたい」と語った。因縁のライバルを前に正念場を迎えている。