【アンマン14日=松尾幸之介】なでしこジャパン(FIFAランク11位)がオーストラリア(同6位)と1-1で引き分け、8大会連続8度目のワールドカップ(W杯)出場を決めた。16年3月のリオオリンピック(五輪)アジア最終予選敗退後に再建を任された高倉麻子監督(49)が、初のアジアでの真剣勝負の舞台で結果を残した。今後は大会連覇を目指し、17日の準決勝で中国(同17位)と戦う。

 なでしこジャパン復活への第1歩を踏み出した。0-0の後半18分。左サイドのMF長谷川のパスに走り込んだ阪口夢のゴールで先制も終了間際の41分に失点。最後はリスクを冒さずに自陣でパスを回してフランス行きを告げる笛を聞いた。B組2位で4強入り。上位5カ国に与えられる19年W杯フランス大会の出場権を獲得した。高倉監督は「選手が体を張ってしのぎながら出場権を獲得したことは非常に誇らしい。チームが1つ成長したと感じることができた」とたたえた。

 この日は3戦目で大会初出場のDF宇津木をボランチで起用。中盤でのつぶし役となり、ピンチを未然に防いだ。コンビを組んだ阪口夢は気兼ねなく攻撃参加でき、先制点につなげた。守備では前から積極的に奪いにくる相手の最終ラインをけん制するため、相手サイドバックの裏へロングボールを蹴ることを指示。ラインを下げさせ、効果的な攻撃を許さなかった。

 相手に応じて選手構成を変えて戦う。分析好きの指揮官の原点は読書にある。自宅近くの図書館で本を借り「家ではいつも本を持って歩いている。時代小説が好きですけど、何でも読みます」と話す。時にはサッカー関連の書籍も読み込む。大会前にはJ1名古屋の風間監督の著書を熟読。相手の動きを読み、その逆を取る理論に共感。「(代表でも)そういう理想を置いてやっている」。この日の先制点も、相手がマイナス気味のクロスへの対応がおろそかになる点を突いた。

 目標だったW杯出場権を獲得し、次の戦いへ気持ちを切り替えている。「まだ上に行くために足りない部分もある。W杯に向けてこのチームは伸びていけると実感している。次の試合に向かってもう1度やっていきたい」。生まれ変わったなでしこが、もう1度世界の頂点を目指す。

 ◆19年女子W杯フランス大会 9都市で来年6月7日から7月7日にかけて開催される。各国代表24チームが出場し、1次リーグは4チームが6組に分かれて争われる。各組2位以内と3位のうち成績上位4チームが決勝トーナメントに進出。開催国フランスを除いた各大陸の出場枠は欧州8、アジア5、北中米カリブ海3・5、アフリカ3、南米2・5、オセアニア1。アジアと欧州、南米で既に予選が始まり、それ以外の大陸は今秋に行われる。