日本代表MF香川真司(30)が4日、宮城県内で行った自主トレを公開した。中高時代は、生まれ育った神戸市からFCみやぎバルセロナ(仙台市)に越境留学。

「30を超えて迎える新たなシーズンの準備を、プロになるための濃い時間を過ごした場所でした」と個人合宿地に選び、この日は約1時間半きっちりトレーニングした。

一定の距離を近接した1対1で競走してからのフィニッシュ練習では、かつて川崎フロンターレや北海道コンサドーレ札幌で活躍した元U-23日本代表DF、現在は香川のマネジメント事務所に所属する薗田淳氏(30)らと質の高い動きを披露した。最後は地元利府高サッカー部のGKを相手にしたシュート練習で状態を高めた。

会場は、みやぎ生協めぐみ野サッカー場。先月9日に日本代表のエルサルバドル戦が行われた、ひとめぼれスタジアム宮城に近く「県サッカー場(旧称)は、よく試合や練習で来ていた場所。におい、風景が懐かしかった」と原点の芝に笑顔を見せ、東北のサッカー少年にとって登竜門となるカメイ杯(U-15東北選抜大会)で「優勝したことも覚えている。ここ宮城に来なければプロになれていなかったと思う。慣れ親しんだ地で最高の準備をしたい」。その後も成長し、異例の高校2年でセレッソ大阪と仮契約。Jリーガーになり、日本代表に選ばれ、ドルトムント、マンチェスターUと進んで2度のW杯にも出場した土台となった。

個人合宿をスタートした前日3日の練習後は名物の牛タンを食べた後、ユアテックスタジアム仙台へ。ベガルタ仙台の天皇杯2回戦(対JFL・FC大阪)を「自分でチケットを買って」お忍び観戦した。「売店に並んでから揚げも買ったけどバレなかった」と笑いながら、一般客にまじって日本最古の大会を堪能。ドイツで食事したこともある仙台の渡辺晋監督(45)が4-1で勝つ姿を見届けた。

一夜明け、午前は利府高のジムを借りて鍛え、午後が今回の練習公開。先月下旬の宮崎合宿ではFW浅野拓磨、MF井手口陽介とともにトレーニングし、グループで質の高い練習に取り組んだが、今回は1人のため、専属の神田泰裕トレーナー(30)と個の状態を上げるメニューに特化した。先月の代表のエルサルバドル戦は負傷欠場したが、現在は万全といえる状況だ。

「毎年が勝負だけど、特に大事な1年になる」と覚悟する19-20年シーズン。トルコ1部ベシクタシュへの期限付き移籍は満了しており、20年夏まで契約が残るドルトムントからは移籍を容認されている。「夢」と公言してきたスペイン移籍を含め、新クラブを模索中。「楽しみな未来が待っていると思っている」と吉報を待ちながら第2の故郷で汗を流した。【木下淳】