20年東京オリンピック(五輪)のサッカー競技でビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR=ビデオ判定)が導入される方向になっていることが10日、分かった。

FIFA主催の国際大会ではすでに導入されているが、五輪では初めてとなる。導入に向け、来年1月1日に大会会場でもある新国立競技場で行われる「天皇杯決勝戦」で本番を想定した試験運用を実施する方針だ。

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東京五輪でもテクノロジーを駆使して、誤審をなくす。関係者によると、サッカー競技でVARを導入できるよう、関係各所で準備をすすめている。東京にスタジオを設置して全7会場とつなぎ、映像を一括で管理していくセントラル方式を採用する方向だ。

公平性と透明性を高める一助となるVARは、欧州の各リーグで続々と受け入れられはじめている。国際サッカー連盟(FIFA)も18年3月の理事会で同年のW杯ロシア大会での正式導入を決定。勝敗を左右する可能性もある誤審を、先進技術と共存していくことで減らしていく道を選んだ。

東京五輪のコンセプトから考えても、導入は自然な流れといえる。大会が掲げる3つの基本コンセプト「全員が自己ベスト」「多様性と調和」「未来への継承」には、「世界最高水準のテクノロジーを競技会場の整備や大会運営に活用」という項目が明記されている。技術革新により、誰もが試合を観戦しながらスマートフォンやタブレットなどで同時進行する中継を視聴し、明確なミスや微妙なプレーの成否を手元の映像でリアルタイムで確認できる時代になった。東京五輪でのVAR初導入は「史上最もイノベーティブで、世界にポジティブな改革をもたらす大会」の実現を後押しするものとなる。

抜かりのない準備で、本番に備えていく。来年元日の天皇杯決勝戦で、VARを試験運用する方向ですでに最終調整に入っている模様だ。会場の1つでもある新国立競技場を舞台に、大会を想定したVARの“テスト”を行うことで運用面の課題を徹底的に洗っていく方針だ。最新テクノロジーと手を取り合いながら、クリーンで魅力的なゲームを届ける-。新時代の五輪にふさわしい、判定に首をかしげることのないサッカーで世界中を熱狂させる。