サッカー好きで知られる、元横綱朝青龍のドルゴルスレン・ダグワドルジ氏(39)が、埼玉スタジアムに降臨した。横綱時代の07年には、負傷で休場中にモンゴルでサッカーに興じていたことが問題になり、世間の耳目を集める一大騒動に。「サッカー好きで、サッカー問題を起こした横綱」と自虐をしながらも、来年のモンゴルリーグで自身が出資してオーナーを務めるチームを持つことを検討していることを明かした。

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スタジアムに現れた元横綱はご機嫌だった。キックオフ約1時間半前に会場入りするなど、母国モンゴルと日本の初対戦を心待ちにしていた模様。「サッカー好きで、サッカー問題を起こした横綱であり、サッカーをやってバッシングを受けた1人」と話して、満面の笑みを浮かべた。

ただのサッカー好きじゃない。02年6月30日、W杯日韓大会の決勝戦を横浜で観戦した。刺激を力に変えて? 翌7月の名古屋場所では大関にスピード昇進。「けっこうサッカーと縁があるんですよ。良い縁なのか、悪い縁なのか分からないけど」と笑わせつつ、「02年のW杯をやった大きなスタジアムで、W杯アジア予選で日本という大きな国を相手に立つということが、夢のようなこと。勝ち負けは関係ないんですよね。とりあえず拍手したい」と高ぶる気持ちを抑えた。

仰天プランも飛び出した。サッカーのモンゴルリーグで来年、自身が出資してオーナーを務めるチームを持つことを検討していると明かした。第68代横綱にちなんで、チーム名は「FC68」。話は具体的に進んでいるといい「(モンゴルを)サッカー王国にしていきたい」と夢を語った。

試合前にはモンゴル代表のロッカールームを激励に訪れる予定だったようで、07年の騒動を引き合いに「あの鮮やかなヘディングをやってやろうと思います」といたずらっぽく笑った。「あれが問題になっているの、おかしいよ。犯罪者じゃないんだから。日本中を騒がせちゃったなあ」と笑いながら、うれしそうにスタジアムの中へと消えていった。【杉山理紗】