日本協会は6日、ワールドカップ(W杯)アジア2次予選キルギス戦(14日、ビシュケク)と国際親善試合キリンチャレンジ杯ベネズエラ戦(19日、吹田)に臨む日本代表を発表した。メンバーを9人入れ替え、実質2チーム招集という異例の編成。森保一監督(51)は同時期に、国内で活動する東京オリンピック(五輪)世代のU-22(22歳以下)日本代表も指揮する。日本が「ONE TEAM」として世界を驚かせるため、今回は2チームを招集し、自身は3チームを指揮。この機会を最大限に生かす。

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森保監督が同時に3チームを操る。W杯予選のキルギス戦は戦術を熟知するメンバーを招集。必勝を期し、2次予選3連勝中の勢いを加速させる。一方で、国際親善試合であるベネズエラ戦は、そこから9人を変更した。初選出の4人はいずれも25歳以下。会見では変わらず引き締まった表情で「今と未来の両方を見て考えた。経験の浅い選手に戦術を知ってもらう」と狙いを口にした。

ベネズエラ戦は、今後を見据えた強化の場としても活用する。同時に、1試合で所属クラブに戻る長友、吉田ら主力は負担が軽減され、クラブの活動に専念できる。選手を入れ替えることで得られる成果は証明済み。6月にも、国内での国際親善試合と南米選手権(ブラジル)でメンバーを一部変更。東京五輪世代を中心に臨んだ南米選手権をきっかけにMF三好、FW前田らが海外へのステップアップ。今回はその時より短い、たった9日間の活動期間だが「新たに選手を見るのは今後に生きる」と、1つのチームにこだわらず、勝利を最優先しつつ戦力の底上げを実現させる。

さらに、今回はA代表常連のMF堂安、MF久保らを、兼任する五輪代表に専念させた。自らは2つの代表を行き来し、指導する。A代表と兼任しているため17年10月の就任以来、国内で東京五輪世代を指揮するのは初。現場で直接試合をチェックし戦術を落とし込むことのできる、貴重な機会だ。「チーム作り、個とチームの成長を考えた」と、一気に3つの目的を達成する綿密なプランだ。

「招集しきれていなかった素晴らしい選手がいることを、ベネズエラ戦で感じたい」。初招集のオナイウや荒木、復帰の井手口らへの期待を口にした。東京五輪も見すえ、世代を超えた複雑なミッションに挑む。【岡崎悠利】