サッカー日本代表が、10月と11月に欧州で合宿と国際親善試合を計画していることが3日、分かった。

現在、合宿地や対戦相手などを調査中。森保ジャパンは、新型コロナウイルスの影響で昨年12月の東アジアE-1選手権を最後に活動しておらず、年内のW杯アジア予選も延期になった。実現すれば20年初の活動、試合となる。入国制限などもあり、今回はJリーグの国内組は招集せず、日本代表史上初めて海外組だけの編成となる見込み。森保一監督(52)は10月に渡欧し、11月の試合終了後までの約1カ月半、欧州にとどまって視察などを行う予定も練られている。

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コロナ禍の中で、日本代表が欧州で活動を再開する計画が進んでいる。3月の国際Aマッチ期間に予定されていたW杯アジア2次予選が延期となるなど一切の活動を中止、自粛としてきたが、10月と11月は様子をうかがいながら欧州遠征の可能性を模索中。刻々と変わる欧州各国の入国制限などをチェックしながら、合宿地や対戦相手などを幅広く探っている。

日本協会の関係者は「できれば10月に2試合、11月に2試合組みたいが、1試合になることもあるし、コロナの状況次第で、最悪の場合は試合が組めなくて中止になることもある」と話す。

国際サッカー連盟(FIFA)の決めた日程で選手招集の強制力があり、代表活動が可能な時期は10月5~13日と、11月9~17日の計18日間。W杯アジア予選は行われない。

入国制限も鑑み、超過密日程のJリーグからは選手を一切招集せず、活動は欧州組だけが対象となる方向。その中心が、ビリャレアルに移籍したMF久保建英(19)となるのは確実で、海外組の若手も加わり、来年に延期となった東京五輪も見据え、代表のレギュラーの座をつかむ貴重なチャンスとなる。

実現へのハードルは高い。対戦相手を探すのも容易ではない。森保監督ら、欧州各国の就労ビザを持たない日本人スタッフは入国できない国もあり、相手は限られてくる。

同時期に欧州各国は基本的にネーションズリーグを戦っている。多くの選手が欧州でプレーするブラジルなど南米の強豪国は、まだ同時期のW杯南米予選の扱いが流動的で交渉できない。

北中米カリブ海には、メキシコのように欧州の多くの国への入国に制限が残る国もある。韓国、オーストラリアなどは日本と同時期に欧州遠征を計画しているといい、対戦相手の取り合いになることも考えられる。

確かに障害はある。それでも欧州遠征を敢行しようとする最大の理由は、日本をサッカーで、勇気付けられないかという思いだ。同じ関係者は「コロナで暗いニュースが多い今、日本を勇気づけたい気持ちがある」と明かす。

日本代表には大きな影響力がある。東日本大震災の起きた11年には、直後の復興支援チャリティーマッチで相手のカズ(三浦知良)のゴールが生まれ、試合を通し、大きなメッセージを伝えた。

欧州とはいえ、再び代表が集まり「サムライブルー」の名の下に戦う姿は、コロナ禍の日本に、たとえわずかでも、勇気と希望を与えることになるかもしれない。

加えて代表活動の継続性という課題解消の一手にもなる。今年、森保ジャパンは活動日が1日もなく、再びチームコンセプトなどを確認する必要がある。そのため、10月の試合後も森保監督らスタッフ陣は、11月の試合まで欧州にとどまって視察や選手個々との意思統率を図る計画もある。

日本代表が、欧州の地で躍動できれば、コロナ禍の日本にとっても大きな希望となると信じ、可能性を探る。