“両翼”をもがれた格好の日本代表森保一監督(52)が、絶対に負けられない宿敵との日韓戦に向け、腹をくくった。日本協会は18日、国際親善試合では10年ぶりの対戦となる韓国戦(25日、日産ス)と、ワールドカップ(W杯)アジア2次予選モンゴル戦(30日、フクアリ)に向けたメンバーを発表。酒井宏樹と長友佑都不在の両サイドバック(SB)を含む、初招集の国内組を8人も招集した。コロナ禍で招集できない主力もおり、国際舞台では実力未知数の選手に、自身の進退に大きな影響を及ぼしかねない日韓戦の勝敗を託す覚悟がにじんだ。

   ◇   ◇   ◇

絶対に負けられない日韓戦に、森保監督は初招集の選手を8人加えた。発表済みの韓国は1人だけ。中でもSBは経験豊富なDF酒井、DF長友(ともにマルセイユ)という昨年10月、11月の欧州遠征で招集した主力が所属先の事情で不在。SB起用が想定される中では、佐々木の国際Aマッチ9試合出場が最多。オンラインで会見した森保監督は「経験の浅い選手たちに代表を経験してもらうことで、個々のレベルアップにつながる」と話した。

東京五輪世代の選手を招集する選択肢もあったが、DF冨安を除いては、同時期に活動するU-24日本代表の活動に集める考え。久保、堂安や三笘はその可能性がある。指揮官は「世界的強豪のアルゼンチン戦に回ってもらい、そこで素晴らしい相手とプレーする時間が長い方が個々の成長にもつながる」と、東京五輪を見据えた強化も重要視した。日韓戦との両にらみで、難しい選択を迫られたことが分かる。

日韓両国の選手の国際Aマッチ出場数は韓国が1人多いが、計552試合であるのに対し、日本は341試合。その差は211試合。不在の酒井と長友の同出場数が187(うち長友が123試合)。2人分でも埋め切れない。指揮官は「戦力の幅を広げ、底上げをしながら、そのベストチームを作り、より強いチームを作れるように考えている」と、抜てきした山根や小川らSB陣に期待を寄せる。

親善試合とはいえ、日韓戦は結果が最重要視される特別な一戦。勝敗に関し、監督が背負う責任はより一層重い。「多くの皆さんが普段の一戦とは違う気持ちで見てくださる。魂を込めて戦えるように準備したい」。現役時代にも経験した日韓戦が持つ重みを承知した上での選考。新たなチームの翼となる選手の台頭に、指揮官がかけた。腹をくくって、運命の日韓戦を迎える。【岡崎悠利】