日本サッカー協会(JFA)は1日、3日に札幌ドームで、A代表と東京五輪世代U-24日本代表との試合を開催すると発表した。

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日本代表の年代を超えた対決はタブー視されてきた。

力の差があるから、A代表の強化にならないのが一番の原因で、勝負がどっちについても批判されるからだ。今は両チームを森保監督が率いているが、監督が違えば勝負の行方によって指導者のプライドや信頼性に傷が付くこともあるし、その非難が選手個人に及ぶこともある。国際Aマッチではないため、スポンサーを納得させるのも難しい。

今回の場合、A代表が勝つと「東京五輪は大丈夫か?」と心配されるし、U-24代表が勝つと「W杯最終予選が心配だ」と言われるはず。日本サッカー協会(JFA)や森保監督が批判されることがある。それでも禁断の世代を超えたマッチを組んだ。

コロナ禍で何が起きるか分からない。JFAはジャマイカだけでなく、セルビアや24歳以下(U-24)ガーナ代表が来日できない時などのリスクマネジメントをしている。実際、12日に予定しているU-24日本代表のジャマイカ戦がそれに当たる。JFAは当初、東京五輪出場権を持つ各国のU-24代表との対戦を計画していたが、交渉は成立しなかった。そこでA代表戦で来日するジャマイカとの試合を組んだ。

今回のリスクマネジメントの順番は次の通り。ジャマイカの来日が難しい場合、セルビアに来日を早めてもらえないか、などの策を持っていた。その次がU-24代表との対戦、それが難しいならJリーグのクラブ、どれも組めなかった場合には大学チームとの練習試合、紅白戦の順だ。今回のマッチメークは、リスクマネジメントの2番手に当たる。

この禁断の一戦の実現には「スポンサーの顔色をうかがった」との指摘もある。JFAは電通と8年約280億円で契約しており、その電通が大手飲料メーカーのキリンと年間22億円の8年契約を結んでいると言われる。その8年間でキリンはA代表戦32試合に同社の冠を付けられる契約となっているが、その32試合をクリアできなかった場合、電通は契約金の減額権利もある中、JFAとの話し合いで落としどころを探った。

U-24代表が中1日で試合が組まれているなど日程上の無理はあるが、2チームを組めるほどの人数を選んでいる。今回のマッチメークはスポンサーとの契約履行の観点ではなく、あくまでもA代表、U-24代表の強化に焦点を合わせたもの。JFAの勇気ある決断と言える。【盧載鎭】