サッカー女子日本代表「なでしこジャパン」(FIFAランク11位)は13日、今月中旬の東京オリンピック(五輪)メンバー発表前最後の国際親善試合メキシコ戦(同28位)に臨む。

招集されている23選手で最年少18歳のMF木下桃香(日テレ東京V)は、18年のU-17ワールドカップ(W杯)でメキシコと対戦経験がある。1次リーグ第3戦でぶつかり合い、日本は木下のゴールで先制したものの、同点とされて1-1の引き分けに終わった。

3年前の戦いを、木下は「実力的に相手が上回っていた印象はあまりない。主導権を握りながらも相手の守備を崩せず、カウンターでやられた」と振り返る。結果1次リーグは突破したが、日本はベスト8で敗退。一方のメキシコは決勝まで駒を進め、準優勝を収めた。

木下は「それを知ったときは、もっと自分たちも上に行けたと思った」と、悔しさと同時に手応えを得た。今回来日したメキシコ代表のメンバーには、18年のU-17W杯に出場していた選手が3人いる。「五輪でもそういう(カウンター狙いの)相手は多いと思うので、そういう戦い方に慣れる面ではいい試合だった」と教訓を生かして戦い、五輪メンバー入りへ最後のアピールに臨む。

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木下がなでしこジャパンに初めて招集されたのは、まだ高校生だった今年3月の候補合宿。高倉監督は「技術、判断、周りとの連係のスムーズさ含めて、高いポテンシャルを感じる。攻撃にアクセントをつけられる、ひとつのプレーで局面を変えられる選手」と技術や戦術眼を買い、五輪4カ月前のタイミングで招集に踏み切った。

同じように18歳のとき、大舞台を前に代表入りしたのが、FW岩渕真奈(28=アーセナル)だった。11年の女子W杯前になでしこジャパンに名を連ね、本大会でもスーパーサブとしてメンバー入り。最年少で優勝チームの一員になった。

自身と同じ18歳でW杯を戦った岩渕について、木下は「自分と同じくらいの時にチームを底上げしていたのは、本当に、心から尊敬しかない」と話す。同時に「今の自分はそれができる立場にいる。下の選手が誰よりも頑張っていいプレーをすることで、上の選手も危機感が生まれて、結果としてチーム全体のレベルが上がっていくと思う」と、自らの立場も理解している。

木下の姿が、10年前の岩渕と重なる。メンバー発表前最後の試合で、一気にシンデレラとなれるか。