11月に開幕するサッカーW杯カタール大会で、日本代表が大会期間中のベースキャンプ地として同国の強豪アルサドの拠点を使用する可能性が高いことが13日、分かった。ドーハで1日に行われた組み合わせ抽せん会に出席した森保一監督(53)も極秘で視察。今月中にも正式に決定する。同国リーグでも最高峰の設備を誇る場所を前線基地とし、史上初のベスト8進出を目指す。

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大会でのパフォーマンスを大きく左右するベースキャンプ地として、アルサドのクラブハウスや練習場を使用する可能性が高まった。複数の練習ピッチがあり、屋内ジムのスペースも広く確保されている。またメディカル室も備わっており、選手がコンディションを調整するために必要なものがそろっている。森保監督も今月1日の組み合わせ抽せん会でドーハを訪れた際、視察していた。

ベスト16に進んだ前回の18年ロシア大会でも、カザンでの拠点が好条件だった。ルビンのクラブハウスを使用し、充実した設備でトレーニングやリカバリーができた。空港が近く移動の負担が少なかったことも好成績の要因の1つだった。カタール大会では飛行機を使った移動はないが、ロシア大会にコーチとして参加していた森保監督は「ホテルと練習場の移動に負荷がかからないこと。クラブハウスの中でも体のケアができたり、室内トレーニングができたりというところを考える」と基準を語っていた。チームが宿泊する予定のドーハ市内のホテルからも車で約10分ほどの距離で、条件をほぼすべてクリアできている。

条件がいい拠点を確保するため、日本協会は早くから動いた。国際サッカー連盟(FIFA)が各国協会にキャンプ地を紹介した当初からクラブやカタール協会とコンタクトをとり、数年にわたってアルサドのクラブハウスを使用したいという希望を伝えてきた。他国からも要望が出ることが十分に考えられるが、時間をかけて詰めてきたこともあり、日本が使える可能性が高い。

宿泊ホテルも複数階を貸し切りにする予定。食事会場だけでなく調理場も専用のものを用意し、選手が休養や食事を含めて心地よく過ごせる空間を作る。大会期間中の移動がない分、宿泊先とトレーニング場の環境はカギになる。史上初のベスト8進出を目標に公言する森保ジャパンが、カタールでもトップレベルの環境で万全の準備を整えられそうだ。

 

◆アルサド 1969年創立の総合スポーツクラブ。本拠地はドーハ。サッカーチームは国内リーグ15度制覇など国内で最多のタイトル獲得数を誇り、11年にはアジア・チャンピオンズリーグで優勝。元イラン代表アリ・ダエイや元ブラジル代表ロマーリオらがプレーし、12年にはラウール、15年にはシャビとスペイン代表の実力者も入団した。シャビは19年から21年シーズンまで監督も務めた。今季のカタール1部リーグは首位を快走中。

 

<日本代表の過去のベースキャンプ地>

◆98年フランス大会 2つの条件(1)ホテルは日本代表で貸し切り(2)市街地から離れ人の出入りが少ないに適合したフランスの国際的リゾート地エクスレバンのホテルを使用。

◆02年日韓大会 周囲を遮断できる立地条件を最優先にしてホテル葛城北の丸(静岡・袋井市)を選択。練習は完全非公開で、露天風呂でくつろげる環境。1次リーグ3会場の中央に位置。

◆06年ドイツ大会 西部の都市ボン。ジーコ・ジャパンが合宿に利用していた千葉・成田の雰囲気に近く、1次リーグ3会場にバス移動が可能。貸し切りではなかったが、プール、ジム施設が整っており、日本人シェフ帯同が可能だった。

◆10年南アフリカ大会 5つ星ゴルフリゾート「ファンコートホテル&カントリークラブ・エステート」。東京ドーム130個分(613ヘクタール)の敷地に専用ミーティングルームなどが用意され、空港へ車で5分。

◆14年ブラジル大会 サンパウロ北西部のイトゥのスパリゾート。2つの国際規格のサッカーグラウンド、ジム、サウナ、室内、屋外のプール、マッサージルームあり。

◆18年ロシア大会 カザンにあるルビンのクラブハウスをメインに使用。