日本(FIFAランキング23位)が10日、キリン杯(ノエスタ)でガーナ(同60位)と対戦する。相手は11月開幕のW杯カタール大会出場国。互いに本大会を見据えた戦いになる。激しい本大会登録メンバー争いが繰り広げられている中、MF久保建英(21=マジョルカ)も主力の座を狙うが、ここまで存在感を示せていない。特に厳しい争いのある前線で、海外組が参加できる国際親善試合はガーナ戦含め4試合。自らの価値を示す“1発回答”を狙う。

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W杯には久保が不可欠だと示すため、アピールの時間は残り少ない。残るはキリン杯の2試合と9月に予定されている2試合。ポジション争いも、いよいよカウントダウン。6日のブラジル戦では悔しい出場機会なしに終わった。

ガーナ戦も再びベンチスタートの見通しだが、出番が巡ってくる可能性は高い。森保監督は9日の会見で選手起用について「スタートからの出場機会がない選手にも、プレーしてもらえるようにしたい」と言及。幅広くチャンスを与える考えを語った。

序列をひっくり返す。そのために求められるのは、結果を出すこと。昨年6月5日。東京五輪に向け、U-24日本代表として20歳になって初めてのゴールを同ガーナ代表から決めている。縁起のいい相手ともいえる。21歳での、そしてちょうど3年前、19年6月9日の国際Aマッチ初出場から、何と16試合も足踏みしている初ゴールを、定位置奪取への足がかりにしたい。

久保はサッカー人生に“締め切り”を作ってやってきた。18歳までに欧州に挑戦することもその1つ。19年6月に、日本人では誰も手が届かないと思われた「白い巨人」レアル・マドリード入りを成し遂げた。昨夏の東京五輪にもエースとして出場。3位決定戦で敗れメダルを逃した直後、涙も見せながらW杯カタール大会に、「A代表でポジションをつかんで試合に出る」と、自ら新しい“締め切り”を口にしている。

21歳の誕生日だった4日には、「人は3カ月あれば変われる」と言い、吹っ切った。とにかく、結果が求めらられる。残された時間は短い。【岡崎悠利】

〇…久保建英が、この日公開された日本協会のYouTubeチャンネル「JFA TV」の動画でGK川島と対談し、W杯について大いに語った。組み合わせ抽選会は生でチェック。「スペインと同じ組に入ってほしいと思っていた」。スペインで育ち、現在もプレーする特別な相手を歓迎。W杯に出ることで味わう経験や価値観の変化について川島が話すと「具体的なところは。自分が選ばれて経験しようと思う」。メンバー入りしての活躍に、強い思いをのぞかせた。

◆所属チームでの立場 保有権を持つレアル・マドリードがオファー次第で久保を今夏放出する可能性があると、スペイン・アス紙が7日に報じている。同紙は「彼はEU圏外の選手で、その3枠はビニシウス、ミリトン、ロドリゴのためのもの。条件次第で放出を検討するだろう」と売却の可能性があることを示唆。代表でもクラブでも難しい立場にいる。

◆ガーナ代表 FIFAランクは60位で、22年W杯カタール大会出場が決まっている国では最下位。W杯は過去3度出場で06年16強、10年8強、14年1次リーグ敗退。今回の来日組はアーセナルのMFパーティーが不在だが、14年W杯に出場したアユー兄弟は健在。ローマ所属の19歳FWアフェナジャンなど欧州で活躍する若い選手も多い。アフリカ選手権は4度優勝。