2024年パリ五輪世代のU-21日本が、2歳上の「格上」U-23韓国を3-0で破り、準決勝へ進出した。FW鈴木唯人(清水)が2得点、FW細谷真大(柏レイソル)もゴールした。初優勝した16年大会以来、3大会ぶり2度目の頂点へ、大岩剛監督率いるチームは一丸となって大一番を乗り越えた。

現役時代にセレッソ大阪、柏レイソルに所属した黄善洪(ファン・ソンホン)監督率いるU-23韓国は、2019年U-20ワールドカップ(W杯)で準優勝した世代。マジョルカで久保建英とプレーするMFイ・ガンインら海外組をそろえた韓国の黄金世代だ。今大会の優勝候補と目される相手に、立ち上がりから押し込まれる展開が続いたが、先制したのは日本だった。

前半22分、鈴木が自ら倒されて得たFK。ゴール前中央20メートルほどの距離から右足で鋭く巻いたシュートを放った。跳ね返しを試みた相手選手の頭に当たるとドライブがかかり、GKの頭上を越え、ゴールバーをたたいてインゴールへ飛び込んだ。

日韓戦は歴史的な因縁もあって「勝敗を越えた戦い」と言われる。この日も激しい球際の攻防が繰り広げられ、両チームの意地と意地がぶつかり合った。DFチェイス・アンリ(シュツットガルト)はイ・ガンインを背後から厳しいチェックで倒した。白熱した展開が続く中、U-21日本が攻勢に出る。

前半終了間際、FW藤尾翔太(徳島ヴォルティス)の右サイドからの折り返しを細谷が右足で合わせたが、ゴールライン上でクリアされた。さらに斉藤光毅(ベルギー2部ロンメルSK)が惜しいシュートを放ったが、追加点とはならなかった。

後半も日本は集中力を切らさない。後半11分にはゴール前に押し込まれ、次々と波状攻撃を浴びたが、次々と相手シュートをブロックして得点を許さない。すると待望の追加点が生まれた。

後半20分、鈴木がドリブル突破から右45度から鋭いシュート。相手GKがこぼしたところを、細谷が素早い反応で押し込んだ。ストライカーらしい得点嗅覚で2-0とリードを広げた。

これで終わらない。続く後半30分、縦パスを受けた鈴木がゴールを背に反転し、左足でシュート。これも決まり、3-0と勝利を確実なものとした。

21歳以下とはいえ、Jリーグで活躍する選手が揃ったメンバー。攻撃陣が目立った中で、ボランチに入ったMF山本理仁(東京ヴェルディ)、MF藤田譲瑠チマ(横浜Fマリノス)も安定した攻守で試合を引き締めた。また、90分を通してGK鈴木彩艶(浦和レッズ)の堅守も光った。国際舞台で強度の高い韓国相手に、日本の持つ底知れぬポテンシャルが引き出されたともいえる。

3得点すべてに絡んだ鈴木は「韓国相手でモチベーションは相当高かった。何が何でも勝ってやろうと思った。全得点に絡めて良かったです」と喜んだ。

15日午後9時(日本時間16日午前1時)の準決勝では、開催国のウズベキスタンと対戦する。優勝まであと2勝、韓国撃破でチームは上昇機運に乗った。

■日本の出場選手

<GK>鈴木彩艶<DF>半田陸、馬場晴也、加藤聖、チェイス・アンリ<MF>山本理仁(後半41分、松木玖生)、藤田譲瑠チマ、斉藤光毅(後半開始、佐藤恵允)<FW>藤尾翔太(後半30分、内野貴史)、細谷真大(後半41分、松岡大起)、鈴木唯人(後半43分、中島大嘉)