日本代表は19日、東アジアE-1選手権で香港との初戦(カシマ)に臨む。約10年ぶりの招集となったFW宮市亮(29=横浜)は、中京大中京高(愛知)からプレミアリーグの名門アーセナルに渡り、数多くの大けがを経験しながらもカムバック。どん底で支えられた多くの人への感謝とけがに苦しむ人への勇気を、日の丸を背負ってプレーする、その姿で伝える。

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日の丸を背負う喜びをかみしめた。19歳で代表デビューを飾った宮市は、膝の前十字靱帯(じんたい)を3度、損傷している。「(3度目で)手術したら引退をしないといけないかもと言われた。このままキャリアが終わってしまう…という時があって」。名門アーセナルの門をたたき、スター街道が約束されていたかに見えたキャリア。「歩ける喜びを知った」というほどに、けがとの戦いにさいなまれた。

支えてくれたのは、海外で活躍する日本代表の先輩たち。「個々に名前を出すと、キリがない」。感謝の思いがあふれた。「吉田麻也選手は、10代からお世話になっている先輩。けがの時からアドバイスをくれたり、代表の話も聞かせてもらって。『選ばれたことに満足せずに、もっとここから自分を出して頑張ってほしい』と言ってくださった」。

周りには多くの支えがあると痛感した。「アーセナルでトップに上り詰めたい」と強い野心があった10代。各国代表の主力が集うチームにもまれる刺激は財産だが「幸せじゃなかった」と今は思う。数々のけがは「サッカー選手としては恥ずかしい」。ただ、痛みと引き換えに大好きなサッカーをプレーできるありがたみを知った。

今、再び日本代表としてピッチに立つチャンスを得た。「けがで苦しんでいるアスリートも多い。でも、リハビリやっている時間が、いつか報われる時が来る。自分のような引退宣告された選手が、日本代表に返り咲くことも必ずある。勇気づけられるようなプレーをしていきたい」。国内組、海外組は関係ない。宮市にしか見せられない姿がある。【岡崎悠利】

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