サッカー日本代表(FIFAランキング24位)のドイツ遠征が終了した。

2-0と快勝した23日の米国(同14位)に続き連勝を狙ったエクアドル戦は0-0のスコアレスドロー。11月20日開幕のワールドカップ(W杯)カタール大会のメンバー発表前の最後の試合を終えた。

W杯本大会の登録メンバーは26人。メンバー選考は、今回の招集メンバー30人に、負傷で離脱しているDF板倉滉(25=ボルシアMG)とFW浅野拓磨(27=ボーフム)、そして未招集だったFW大迫勇也(32=ヴィッセル神戸)の3人を加えた合計33人が候補となる。

ドイツ遠征の内容を考慮し、26枠のメンバーを予想してみたい。【佐藤隆志】

<GK=3人想定>

当確=シュミット・ダニエル(シントトロイデン)、権田修一(清水エスパルス)

有力=川島永嗣(ストラスブール)

微妙=谷晃生(湘南ベルマーレ)

【寸評】エクアドル戦でシュミット株が一気に高まった。197センチと上背があり、シュート反応の速さを見せつけた。当確間違いなし。森保監督の信頼度が高い権田も順当に選ばれるだろう。

3番目の枠は、W杯を知る川島か谷か。2010年W杯でGK川口能活が選出されたように、大舞台となればベテランの川島が優勢か。若くて将来性ある谷だが、ドイツ遠征で出場機会がなくアピールできなかったのも痛い。

<DF=8人想定>

当確=吉田麻也(シャルケ)、冨安健洋(アーセナル)、酒井宏樹(浦和)、中山雄太(ハダースフィールド)

有力=山根視来(川崎フロンターレ)、伊藤洋輝(シュツットガルト)、長友佑都(FC東京)板倉滉(ボルシアMG)

微妙=谷口彰悟(川崎フロンターレ)、瀬古歩夢(グラスホッパー)

【寸評】冨安は守備の要。吉田は主将としてのリーダーシップがあり、唯一無二の存在だ。伊藤はCBでも、左サイドでも使える利点が生きそう。左利きという特長も大きい。左サイドバックの中山も序列を替え、左サイドバックの1番手へ。

右サイドバックの酒井も相手のレベルが上がるほど、対応力が増していく。攻守にまとまっている山根は、右サイドのバックアッパーとして不可欠だ。長友もエクアドル戦で球際の強さを披露し、4大会連続のメンバー入りが見えた。

後は左膝内側側副靱帯(じんたい)を部分断裂した板倉だろう。回復次第となってくるが、強度の高いドイツの選手を知るだけに、バックアッパーとして置いておきたい。

また、安定感ある谷口だが、エアクドアル戦でPKを与えるなど強豪国のアタッカーへのスピードに課題が残った。板倉の回復状況や他のポジション枠との兼ね合いも見て、判断されることになりそう。瀬古は2試合連続でベンチ外となり、現状では厳しい。

<MF=11人想定>

当確=遠藤航(シュツットガルト)、伊東純也(スタッド・ランス)、守田英正(スポルティング)、鎌田大地(Eフランクフルト)、三笘薫(ブライトン)、久保建英(Rソシエダード)

有力=南野拓実(モナコ)、田中碧(デュッセルドルフ)、堂安律(フライブルク)

原口元気(ウニオン・ベルリン)、柴崎岳(レガネス)

微妙=相馬勇紀(名古屋グランパス)、旗手怜央(セルティック)

【寸評】4-2-3-1とシステムを変えたことで、トップ下で鎌田が輝き、本大会でも攻撃の中心となりタクトを振ることになりそうだ。突破力に優れる伊東と久保は、鎌田とのセットでより生きそうな状況だ。ボランチは強さと展開力のある遠藤は不動で、攻撃センスのある守田もレギュラー候補だろう。

南野は実績からすれば選出は間違いなさそう。ただ2列目の序列としては、鎌田の後塵(こうじん)を拝した格好で、左サイドでも久保、三笘が上か。ただ得点力がある選手だけに、勝負どころで投入すれば活躍しそうだ。堂安は見せ場をつくれなかったが、決定力が魅力。田中は攻守に渡る能力は高いが、エクアドル戦では中盤で相手を止められず、カウンターを食らう場面があった。

原口と柴崎は前回大会で活躍し、チームの足らない部分を補完できる存在。その経験値を森保監督が買いそう。

一方で、左サイドでドリブルが切れる相馬だが、同じドリブラーの久保や三笘がいるだけに厳しいか。欧州CLで評価を高めた旗手だが、この2試合で使われなかったのは痛すぎる。強さとテクニックもあるだけに、今回の遠征で誰もが見たかった選手だろう。

<FW=4人想定>

当確=なし

有力=古橋亨悟(セルティック)、前田大然(セルティック)、上田綺世(セルクル・ブリュージュ)、大迫勇也(ヴィッセル神戸)

微妙=浅野拓磨(ボーフム)、町野修斗(湘南ベルマーレ)

【寸評】横一線で軸となる選手は見当たらない。米国戦で積極的なチェイシングを披露した前田は、走力でチームに貢献できる。見せ場のなかった古橋だが、欧州の第一線で戦う経験と、その得点感覚は評価されそう。上田は最前線で起点となり、2列目の攻撃を引き出せる特長がいい。

浅野はコンディションが戻れば、俊足が持ち味の前田との択一か。町野は伸びしろの多い選手だが、世界基準で見れば発展途上。エクアドル戦の後半に好機をつくった上田の方が評価されそうだ。

そして最後に大迫についての判断だろう。今回の遠征不在は懸念されるが、ここでFWの軸が見えなかったことで待望論が出そう。「半端ない」のフレーズ通り、ここ一番の決定力は申し分ない。ドイツで7シーズン過ごしたことも考慮し、26番目の枠に置いておきたい。