日本代表の森保一監督(54)が、新たな世代に命運を託した。前回大会の経験者で森保ジャパンでも功労者のFW大迫勇也、MF原口元気を外す決断をした。一方でFW上田綺世、MF相馬勇紀ら東京五輪を戦った世代を選出。苦渋の末に26人の選択を終え、「行雲流水(こううんりゅうすい)」の境地を口にした。
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森保監督は会見当日の朝に腹を決めた。悩める前線の陣容。新たな世代の覚醒にかけた。異例の年齢順で、メンバーを読み上げた。8人目に柴崎の名前が呼ばれた時点で大迫と原口の落選がわかった。18番目に相馬だった。7月の東アジアE-1選手権で大会MVPに輝き9月のドイツ遠征に生き残るも、エクアドル戦の後半22分からの出場にとどまっていた。会場の233人の報道陣からは驚きの声も漏れた。
「W杯経験者がいなくなることは話し合った。経験がない選手の、W杯で成功したいという野心とエネルギーを期待してメンバー選考にいたった」
発足時から攻撃の大黒柱だった大迫。ポストプレーから多くの得点がもたらされた。そして前回大会ベルギー戦でのゴールなど、大舞台でも実績十分の原口。合わせて国際Aマッチ出場131試合の経験値を、捨てる決断をした。
「頼りたいところはまだまだある。許されるのであれば招集したい。同時に、伸びてきている経験の浅い選手の芽を大事にしなければならない。長期での戦いでさまざまな想定をして結論をだした」
相馬、上田をはじめ、東京五輪世代から11人を選出した。DF伊藤を除く10人が五輪に出場している。兼任監督として「1チーム2カテゴリー」を掲げ、強化を進めてきた森保監督だからこその決断だった。
26人目、最年少の久保の名を読み上げた。発表されたメンバーのリストが会場内で配られる中、指揮官はフーッと大きく息をついた。選ぶ作業は同時に、選手を切る作業だ。「つらく、できることならやりたくない」。そう語る大仕事を終えた指揮官の表情には時折、笑みが戻った。
「四字熟語で言えば、行雲流水の気持ち。高揚はあまりなく、自然体でやっていきたい」
行雲流水。執着なく、自然のなりゆきに任せて行動することの意。発足から、歴代最多122人を招集、105人をピッチに立たせた。そこから選び抜いた命運を託す26人。1人1人の名前を呼ぶ自らの声を、自身も確認するように聞いた。心残りはない。【岡崎悠利】
○…堂安 本田圭佑ばりの「W杯優勝」を目標に掲げた。「そもそも負けると思って大会に臨まないんで、優勝を狙っている」と力強い。「自信しかない」という東京五輪で10番を背負ったレフティーは、代表入り直後に母親から電話がきたといい「(母は)泣いてたんだろうなと、すごく感じた。両親が喜んでくれることが一番うれしい。1つ人生の親孝行ができたと思う」とコメントした。

