やっと出た! 昨季チーム得点王のJ2札幌FW都倉賢(28)が22日、キャンプ5試合目の実戦で、自身初得点をマークした。長崎・島原市営陸上競技場で行われた長崎との練習試合(45分3本)に先発し、1本目43分、0-1から豪快な同点ゴールを決めた。2本目にも連係から好機をつくるなど、見せ場はたっぷり。開幕までちょうど2週間に迫り、攻撃の要が、ようやく本領発揮だ。

 目覚めの一撃が、ゴールネットに突き刺さった。口にこそ出さないが、よほど鬱憤(うっぷん)がたまっていたのか。1点ビハインドで迎えた1本目43分、同点ゴールを決めた札幌FW都倉は、公式戦のように派手に右拳を握ってみせた。「福森から、いいボールが来るんじゃないかなと思っていた」。DF福森が左サイドから上げたクロスを右足で受け、豪快に左足で蹴り込んだ。

 2本目では、3トップを組むFW内村との連係からゴール前へ放り込み、決定的な場面を演出した。得点にこそつながらなかったが「前の3人のビルドアップが良かった。この回数を増やせば、得点につながる」と、呼吸が合ってきたチームに自信を見せた。

 昨季はJ2最優秀ゴール賞を受賞。オフは、米大リーグ、レンジャーズのダルビッシュも通った都内のスポーツジムで、鍛え上げた。「栄養面でもサポートを受けられるのが利点です。走る時の体の使い方とか、シーズン中には修正できない点を見直した」という“筋肉マニア”の選ぶ言葉は、どこか哲学的で、丁寧だ。

 ようやくエンジンがかかり「こんなに観客が入るとは。公式戦に近いシチュエーションをつくってくれて、練習試合を超えたトライアル・マッチになった」と、2500人の敵地ファンにも感謝した生真面目な背番号9。2週間後に迫った開幕戦へ、フルスロットルで駆け抜ける。【中島宙恵】