東京ヴェルディのミゲル・アンヘル・ロティーナ監督(60)は、ジェフユナイテッド千葉戦との開幕戦を制した後の会見で、高卒ルーキーで開幕スタメンを飾ったFW藤本寛也(18)を高く評価する一方、育成する対象ではなく、あくまで重要な戦力であることを強調した。

 ロティーナ監督は質疑応答の中で、藤本の起用の狙いと評価について聞かれ「寛也はトレーニングマッチで、あそこ(3トップ右)のポジションでプレーして、とても彼のプレーが好きになった。味方と連携が出来るし、ラストパスも出せる。チームのボールポゼッションに継続性を与えることができパス、センタリングの精度も高い。我々のプレーモデルにすごく合った選手と判断したので、スタメンで使った」と、淡々とした口調ながら絶賛した。

 藤本は20年東京五輪を狙える世代の逸材だが、欧州トップリーグをはじめとした世界においては、18歳でも主力で活躍する選手は少なくない。取材陣からは、その点を踏まえ「スペインリーグで20年以上、指揮を執ってきた監督にとって、藤本選手の現在地点と彼が世界へ羽ばたいていくためにどう導いていきたいか?」と質問が飛んだ。

 ロティーナ監督は、藤本の1年上にMF渡辺皓太(19)、後半28分に藤本と交代で入ったMF井上潮音(20)も藤本の2年上であることを踏まえ「東京Vは若くて才能のある選手がとても多いクラブ。彼らのうちの1人が寛也です」と指摘。その上で「彼(藤本)はもちろん、より多くプレーすれば成長は早くなるでしょう。でも監督としては年齢だったり、身分証明書を見て誰がプレーするかを選ぶのではなく、勝つために選んでいる。彼がベストだと思っている限り、プレーし続けるでしょう」と、あくまで戦力になるかどうかで選んでいると強調した。

 その上で「基本的に若い選手は調子の良い時、悪い時がシーズン中にあるものです。ただ、いい選手になるためには、そういう状況を知ること、適応していくことが重要になってくると思います」と、藤本ら若手へのアドバイスとも取れるコメントを口にした。

 千葉との開幕戦を制したことについては「とても強力な相手、難しい試合に勝つことが出来た。(前半9分の千葉DF増嶋竜也の)退場のシーンが試合の結果に大きな影響を及ぼした。ラスト5分で追いつかれたが、その後、ハタ(DF畠中槙之輔)がCKを決め、幸運にも、とても重要な勝ち点3を奪うことが出来た」と語った。

 質疑応答では「10人の千葉に攻め込まれた。監督は相手の能力が高いと言うが、選手個人の能力が高いのか、(千葉の)エスナイデル監督のチームのコンセプトが優れているのか?」という質問もあった。ロティーナ監督は「両方だと思う。素晴らしい選手がそろっているし、チームとしてのコンセプトも良いものを持っている」と評価した。

 その上で「やっぱり、ウソはつけない…というのは千葉は、とても強いチーム。予算だったりメンバーを見ても、昇格の候補だということは間違いないし、上位にいられなくては失敗と言われるような、強力なチームだということ。何か1つを挙げるのは難しい…予算、クラブ、メンバーが素晴らしく、同時に監督もすごく良い仕事をする。それが全て合わさって、いいチームが出来ていくと思う」と、千葉がJ1昇格の最有力チームだと分析した。【村上幸将】