J2アルビレックス新潟が白星でJ1復帰へのスタートを切った。カマタマーレ讃岐を1-0で破り勝ち点3をゲット。開幕戦初スタメンのFW河田篤秀(25)が後半13分、今季チーム第1号のゴールを決めて逃げ切った。新潟は次節(3月3日・デンカビッグスワンスタジアム)に松本を迎えてのホーム初戦に臨む。

 待ち望んでいた場面に身を置いた。FW河田は1000人の新潟サポーターの歓喜を耳にしながら、チームメートの祝福の輪の中心にいた。ベンチ前でMF端山豪(24)と抱き合うと、控えメンバーが次々と駆け寄り飛びついてきた。

 「点を取って、みんなと喜び合う。こういうのはいいですね」。後半13分、途中出場のFW矢野貴章(33)からパスを受け、左サイドをドリブルで駆け上がる。ペナルティーエリアに入ると讃岐GK清水健太(36)の動きが見えた。「慌てて飛び出してきた。ゴールが空いたので迷わず狙った」。左足で放ったボールはゴールマウスに飛び込んだ。

 昨季、新潟シンガポールから移籍し、3得点をマーク。ただ、いずれも試合結果は引き分け。勝利につながる得点は経験できなかった。「勝つために点は誰が取ってもいい。自分で決めて勝てると、本当にうれしい」。J1復帰を目指すシーズンの大切な開幕戦。自らのゴールが勝ち点3に直結したことを喜んだ。

 これがJリーグの開幕戦初スタメンだった。「緊張はしなかった。今まで通りにやれた」。昨季序盤はベンチ外が続いた。右足関節のケガで手術もした。それを克服し、終盤の7試合はスタメンに定着。チームのJ2降格が決まる中、がむしゃらに試合での活躍を意識して養った力は、シーズンが変わっても伸び続けている。「河田は体の強さはうちのナンバーワン。よく突破してくれた」。鈴木政一監督(63)も絶賛する。

 新潟は初のJ1昇格を決めた03年のJ2開幕戦は、アウェーで大宮に4-1で快勝。勢いに乗った。15年後、チーム再建とJ1「復帰」がテーマになったチームは、手堅くJ2での勝ち点3をつかんだ。河田は言う。「今季はJ1に戻るため全部勝つつもり。自分はストライカーと認めてもらえるシーズンにしたい」。最高のフィナーレを迎える手応えを、最高のスタートになった開幕戦でつかんだ。【斎藤慎一郎】