アルビレックス新潟が今季初の連勝を決めた。3-2でツエーゲン金沢に競り勝ち、順位を14位から11位に上げた。2-2の後半44分、ルーキーMF渡辺新太(22)がプロ初ゴールを決めて勝ち越した。前半12分にはFWターレス(22)が先制点、同29分にはFW河田篤秀(25)が追加点と、第4節横浜FC戦以来の1試合3得点で接戦をものにした。

 一直線に向かったのは、4000人の新潟サポーターが歓喜に沸く観客席の前だった。MF渡辺新はガッツポーズをしながらサポーターにアピール。そこに駆けつけたチームメートに次々と抱きつかれた。

 「魂で打ちました。気持ちいいっス」。渾身(こんしん)のシュートが新潟を救った。後半44分、ゴール前の競り合いから、ゴール左に位置していた渡辺新の前にボールが転がる。「自分は、こぼれてくるところにいる嗅覚がある」。待っていたシチュエーション。迷いはなかった。コンパクトに、ふかさないように、といった丁寧さは一切なし。「ガンって思い切って蹴った」。豪快なプロ初得点が今季初の連勝を生んだ。

 前半に2点リードしながら、後半にオウンゴールとクロスからのヘディングを許して2失点。金沢を勢いづかせた。それを断ち切ったのが、チームで誰よりも勢いのある渡辺新だった。

 これが前節山口戦に続くスタメン。山口戦はスタミナ切れで後半27分に交代した。そこから中4日だったが、この日も試合開始から全力疾走。ペース配分は度外視。球際の攻防で激しく戦い、繰り返し裏への飛び出しを狙う。粗削りをそのまま表現したような様子に鈴木政一監督(63)は「1試合1試合、進歩している」と笑みを浮かべた。

 山口戦は終了間際のPK、そしてこの日はルーキーの勝ち越し弾。接戦だが、波に乗る形での連勝。渡辺新は「自分のゴールで勝てたことがうれしい」。新鋭の活躍は勝ち点3に匹敵する収穫だった。【斎藤慎一郎】