アルビレックス新潟はシーズンを勝利で締めくくることができなかった。レノファ山口FCに0-2で敗れた。今季成績は15勝8分け19敗の勝ち点53で、順位は16位。前半42分に先制点を許すと、後半は開始1分で守備の乱れから2失点目。放ったシュート8本はゴールマウスにボールを収めることができなかった。それでも片渕浩一郎監督(43)就任後は7勝3分け3敗の好成績(代行2試合除く)。来季はここをベースに続投する指揮官の下でJ1復帰を目指す。

試合終了の笛と同時にガッツポーズをする山口の選手たちのそばで、新潟のメンバーは硬い表情をみせた。後半は6本のシュートを浴びせた。だが途中出場のFWターレス(23)のミドルはバーに直撃し、FW矢野貴章(34)のペナルティーエリア内からの1本も外れた。

「前半の失点は痛かった。後半の立ち上がりの失点が響いた」。片渕監督は奪われたゴールの重さを痛感した。前半42分、山口のMF高井和馬(24)に突破され、先制を許す。気持ちを切り替えたはずの後半、左サイドを簡単に突破され、クロスから2失点目。開始1分にも満たないうちに引き離された。

勝ちたい試合だった。最終節を前に、急性白血病で闘病生活を送っていたDF早川史哉(24)の契約再開が決定。またMF梶山陽平(33)の引退も発表された。仲間の、復帰と選手生活最後の試合。「最後に勝ち点3を取りたかった。自分たちの力不足」。FW田中達也(35)は険しい表情で言った。

J2の16位はクラブ史上最低成績。ただ巻き返す材料はそろう。片渕監督は鈴木政一前監督(63)の後を受け、第30節アビスパ福岡戦から正式に監督として指揮を執り、7勝3分け3敗(代行で2敗)。激しいプレスと奪ってからの速攻、ゴール前での堅守と新潟伝統のスタイルを復活させた。

FW渡辺新太(23)は10得点とチーム最多を記録。MF戸嶋祥郎(23)はチーム2位の2823分間の出場。2人の大卒新人が主力になった。チーム最年長のFW田中も31試合出場を果たした。ベテランと若手が融合し土台ができつつある。「今年の悔しさを来季の成長材料にしたい」と渡辺新。チームは11月中、練習を行う。19年のJ1昇格へ待ったなしでスタートを切る。【斎藤慎一郎】