清水エスパルスは劇的な逆転勝ちで横浜を3-2で退けた。2度リードされたが、後半ロスタイムにMF西沢健太(22)が決勝点。大卒ルーキーのプロ初ゴールで、価値ある勝ち点3を積み上げた。篠田善之監督(47)就任以来、4戦負けなし(2勝2分け)。最下位から脱出し、15位に浮上した。

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ドラマチックな幕切れにスタジアムが揺れた。清水は2-2で迎えた後半ロスタイム、伏兵が大仕事をやってのけた。味方のスルーパスにMF西沢が反応。ファーストトラップで抜け出すと、「自分でもビックリするぐらい冷静だった」。GKの動きを見極め、左脇下を抜いて決勝点。プロ初ゴールを挙げた22歳は、仲間からの手荒い祝福でピッチに押しつぶされた。

西沢にとって試合後のヒーローインタビューも初。サポーターの大声援に迎えられ、感情を爆発させた。「最高です!」。下部組織で育ち、あこがれていたアイスタで迎えた至福の瞬間。後半開始からピッチに立ち、再三の決定機を外していただけに「夢に見た景色だった」と頬を緩めた。

戦友たちと肩を並べた。清水ユースの同期は、FW北川航也(22)DF水谷拓磨(23)MF宮本航汰(22=現J2岐阜)の3人がトップ昇格。西沢は上がれず、筑波大に進学した。「悔しかったですけど、4年間の経験も大きかった」。大学で実績を積み、今季加入。夢のプロ入りは遠回りしたが「本当の意味で今日が再スタートになった」と感慨深げだった。

監督交代前までベンチ入りもできなかったが、篠田監督就任後は4試合連続で途中出場。“申し子”とも言える西沢の活躍に、指揮官も「彼にとって大きい」とたたえた。この日は両親もスタンドで観戦。1日早い父の日のプレゼントになった。「親孝行できたと思う」と西沢。「オレンジの血が流れている」と言い切る生え抜きのゴールで、貴重な白星を得た。最下位からの逆襲が始まった。【神谷亮磨】