湘南ベルマーレは13日、コーチングスタッフや選手へのパワーハラスメント行為を行った疑惑が明らかになった曹貴裁監督(50)について、同問題に対するJリーグの調査が終了するまで現場での指揮および指導を控えることを発表した。

クラブによると、当面はコーチ陣のみで指導を行い、17日にホームで行われるサガン鳥栖戦は高橋健二コーチ(49)が指揮を執るという。チームはこの日、神奈川・平塚市内で騒動後、初の練習を非公開で行い、選手からは今後の活動を不安視する声も出た。

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湘南は13日午前、公式ホームページに「本日より曹監督はJリーグの調査が終了するまで現場での指揮及び指導を控えることとします」との声明文を出した。選手らに対し、練習前に真潔壁会長、水谷尚人社長、坂本紘司スポーツダイレクターのそれぞれから現状と曹監督の指導自粛について説明した。クラブによると、選手から質問や意見などが出ることはなく、説明に静かに耳を傾けていたという。

練習は高橋コーチらを中心に17日の鳥栖戦へ向けて約1時間、汗を流した。11日のジュビロ磐田戦に勝って2連勝とし、順位を11位に上げて2年連続でのJ1残留に一歩近づいた矢先での出来事。暫定的に指揮を執る高橋コーチは選手に「ひとつになってやっていこう」と声をかけたことを明かし、「やることをやるだけなので」と決意をにじませた。

当初、曹監督は練習にも姿を見せる予定だった。しかし、12日にクラブハウスで監督本人と真壁会長らで話し合った中で、Jリーグから正しい審査を受けるための処置として指導自粛を決定した。河川敷の練習グラウンドに響き渡る大きな声を出し、身ぶり手ぶりで熱血指導を行っていた指揮官が不在となる中で夏場の佳境を迎える。チーム最年長のMF梅崎司は「(チームメートと)どうなるのかねという話はしました。まだ僕は(負傷で)リハビリ中ですけど、正直こんな状況で試合はできるのかなというところはすごくありますね」と胸の内を吐露した。

今後は、お盆明けにも始まるJリーグの聞き取り調査の結果を待ちながら、残り12試合となったリーグ戦を戦っていく。U-20日本代表MF斉藤未月は「試合はやってきますし、僕たちがやるべきことはサッカーをすること。それが仕事なので。覚悟はできています」。築き上げた“湘南スタイル”を忘れず、チームは前へと進む。