横浜F・マリノスが15年ぶりのリーグ制覇を成し遂げた。鹿島アントラーズの7度に次ぐ単独2位の4度目の制覇で1シーズン制では初。93年のリーグ開幕からその軌跡を振り返る。※表記は当時のもの
◆1993年5月15日 国立でのJリーグ開幕戦でヴェルディ川崎を破り歴史的1勝
◆第1ステージ第1節◇95年5月15日◇国立◇5万9626人
川 崎 | 1 | 1-0 0-2 | 2 | 横浜M |
前半19分【川】マイヤー
後半3分【M】エバートン
後半14分【M】ディアス
◆横浜Mのメンバー
▼GK 松永成立
▼DF 平川弘、勝矢寿延、井原正巳、小泉淳嗣
▼MF 野田知、エバートン、水沼貴史、木村和司、ビスコンティ
▼FW ディアス
■監督 清水秀彦
横浜マリノスが歴史の1ページを開いた。日本スポーツ界に新たな時代を築くJリーグ。初白星は、横浜Mがヴェルディ川崎を2-1と下して手にした。マイヤー(31)に先制点を奪われた横浜Mは、エバートン(33)が同点ゴール。日本サッカー界を引っ張ってきた木村和司(34)と水沼貴史(32)のベテランコンビがつくったチャンスを、大物助っ人ディアス(33)が決めて、逆転した。
◆1995年 チャンピオンシップでヴェルディ川崎を破り、リーグ初優勝
◆第1ステージ最終節◇95年7月22日◇三ツ沢◇1万4127人
横浜M | 1 | 1-0 0-0 | 0 | 鹿 島 |
前半12分【M】メディナベージョ
◆横浜Mのメンバー
▼GK 川口能活
▼DF 鈴木正、松田直樹、井原正巳、小村徳男
▼MF サパタ、野田知、神野卓哉(古賀正人)、安永聡太郎、ビスコンティ
▼FW メディナベージョ
■監督 早野宏史
悲願の初優勝を達成した。鹿島に大苦戦を強いられながら、FWメディナベージョ(29=アルゼンチン)の決めた先制点を死守し、1―0の逃げ切り勝ち。奇跡の逆転Vを狙った川崎を自力で振り切った。ソラリ前監督(51)の辞任、ディアス(35)GK松永成立(32)の退団など、シーズン中の相次ぐ騒動を乗り越えての初Vを生んだのは、早野宏史新監督を中心とする新旧の世代を超えたイレブンの結束力だった。
◆チャンピオンシップ第1戦◇95年11月30日◇国立◇4万7631人
横浜M | 1 | 0-0 1-0 | 0 | 川 崎 |
後半3分【M】ビスコンティ
◆横浜Mのメンバー
▼GK 川口能活
▼DF 松田直樹、井原正巳、小村徳男
▼MF 鈴木正治、サパタ、遠藤彰弘(鈴木健仁)、野田知、ビスコンティ
▼FW 安永聡太郎(三浦文丈)、山田隆裕
■監督 早野宏史
◆チャンピオンシップ第2戦◇95年12月6日◇国立◇4万8271人
川 崎 | 0 | 0-1 0-0 | 1 | 横浜M |
前半29分【M】井原正巳
◆横浜Mのメンバー
▼GK 川口能活
▼DF 松田直樹、井原正巳、小村徳男
▼MF 鈴木正治、サパタ、野田知、遠藤彰弘、ビスコンティ
▼FW メディナベージョ(三浦文丈)、山田隆裕
■監督 早野宏史
第2ステージを制し3連覇を狙うV川崎とのチャンピオンシップでは第1戦を1-0で先勝。後半開始早々に得意のカウンターからビスコンティのゴールで先制し、徹底して守備を固めてワンチャンスを生かした。第2戦も前半29分、セットプレーからDF井原正巳のヘディングで先制。後半も井原を中心に鉄壁の守りで逃げ切って1-0で連勝。Jリーグ3年目にして悲願の頂点に立った。
◆2000年 第1S制すもチャンピオンシップで鹿島に敗れる
◆第1ステージ最終節◇00年5月27日◇国立◇1万7953人
市 原 | 0 | 0-1 0-1 | 2 | 横 浜 |
前半38分【横】エジミウソン
後半24分【横】遠藤彰弘
◆横浜のメンバー
▼GK 川口能活
▼DF 松田直樹、波戸康広、小村徳男
▼MF 上野良治、中村俊輔、永山邦夫(永井秀樹)、遠藤彰弘、原田慎太郎(岡山一成)
▼FW 外池大亮(森陽一)、エジミウソン
■監督 オズワルド・アルディレス
第1ステージ最終戦で市原に2-0で勝ち、10勝5敗の勝ち点30で優勝を果たした。優勝決定は試合終了から27分後。前節まで首位だったC大阪が川崎Fに延長Vゴールで負け、5年ぶりの優勝が決まった。90分を戦い抜いたイレブンは、ピッチに座って大型ビジョンでC大阪の試合を観戦。劇的な幕切れに、跳びはねて喜びを爆発させた。
◆チャンピオンシップ第1戦◇00年12月9日◇横浜国際◇4万1595人
横 浜 | 0 | 0-0 0-0 | 0 | 鹿 島 |
◆横浜のメンバー
▼GK 川口能活
▼DF 松田直樹、波戸康広、小村徳男
▼MF 上野良治、三浦淳宏、中村俊輔、木島良輔(永山邦夫)、遠藤彰弘
▼FW 柳想鉄、城彰二(エジミウソン、岡山一成)
■監督 オズワルド・アルディレス
◆チャンピオンシップ第2戦◇00年12月9日◇国立◇4万4665人
鹿 島 | 3 | 3-0 0-0 | 0 | 横 浜 |
前半24分【鹿】鈴木隆行
前半39分【鹿】名良橋晃
前半44分【鹿】中田浩二
◆横浜のメンバー
▼GK 川口能活
▼DF 松田直樹、波戸康広、小村徳男
▼MF 上野良治、三浦淳宏(城彰二)、中村俊輔、木島良輔(永山邦夫)、遠藤彰弘
▼FW 柳想鉄、エジミウソン(外池大亮)
■監督 オズワルド・アルディレス
鹿島とのチャンピオンシップは第1戦は0-0で引き分けたが、第2戦は0-3で完敗。2度目の優勝はならなかった。このシーズンのMVPに選出された中村俊輔だったが、自らのパスミスを起点に失点。数多くタッチして、リズムをつくる本来のプレーもできず敗れ去った。
◆2002年 中村俊輔がイタリア移籍 満員の国立でさよなら試合
◆第9節◇02年7月22日◇国立◇5万2037人
横 浜 | 2 | 2-1 0-0 | 1 | 東京V |
前半22分【V】エジムンド
前半34分【横】ナザ
前半39分【横】中村俊輔
◆横浜のメンバー
▼GK 榎本達也
▼DF 松田直樹、ナザ、中沢佑二
▼MF ドゥトラ、波戸康広、上野良治、中村俊輔(坂田大輔)、奥大介
▼FW ウィル(平瀬智行)、清水範久(遠藤彰弘)
■監督 岡田武史
横浜MF中村俊輔(24)がJラストゲーム東京V戦(国立)を自らのゴールで飾った。前半39分に得たPKが決勝点になり、同34分のナザの同点ゴールの起点にもなった。技術と創造力でスタンドを埋めた5万2073人を酔わせ、移籍するセリエAレッジーナのマルティーノGMを満足させた。J通算148試合33得点40アシスト。輝かしい記録と記憶を残し、中村は新天地イタリアへ旅立つ。
◆2003年 岡田監督1年目 完全優勝で2度目の頂点
◆第1ステージ最終節◇03年8月2日◇横浜国際◇5万9728人
横 浜 | 3 | 0-0 3-0 | 0 | 神 戸 |
後半22分【横】中沢佑二
後半32分【横】中沢佑二
後半38分【横】奥大介
◆横浜のメンバー
▼GK 榎本達也
▼DF 柳想鉄、松田直樹、ドゥトラ、中沢佑二
▼MF 佐藤由紀彦(清水範久)、遠藤彰弘、奥大介(永山邦夫)、那須大亮
▼FW 久保竜彦、マルキーニョス(坂田大輔)
■監督 岡田武史
メガネが壊れても心配はなかった。選手がVの扉をこじ開けた。勝った。酔った。抱き合った。就任242日目、横浜の岡田武史監督(46)がJ1を初めて制した。優勝に王手をかけていた横浜は、DF中沢佑二(25)の2得点など後半の3ゴールで3-0と神戸に快勝。磐田と市原を振りきり、3年ぶり3度目の優勝を果たした。98年フランスW杯で日本代表を率いた岡田監督が、就任1年目で初めてJリーグの頂点に立った。
◆第2ステージ最終節◇03年11月29日◇横浜国際◇4万3283人
横 浜 | 2 | 0-1 2-0 | 1 | 磐 田 |
後半2分【磐】グラウ
後半5分【横】マルキーニョス
後半44分【横】久保竜彦
◆横浜のメンバー
▼GK 榎本哲也(前半15分退場)
▼DF 松田直樹、中沢佑二、河合竜二(大橋正博)
▼MF ドゥトラ、佐藤由紀彦(下川健一)、遠藤彰弘(上野良治)、奥大介、那須大亮
▼FW 久保竜彦、マルキーニョス
■監督 岡田武史
最終節まで4チームが優勝争いを演じる大混戦のJリーグ第2Sは、残り4分からのドラマチックな幕切れとなった。Jリーグ第2S最終節で3位の横浜が後半ロスタイム、終了3分前のFW久保竜彦(27)の勝ち越しゴールで首位磐田に逆転勝ち。終了1分後に2位鹿島が浦和と引き分け、横浜に大逆転の第2S優勝が転がり込んだ。第1Sに続く完全制覇となった。
◆2004年 史上初の3季連続V チャンピオンシップで浦和破り3度目制覇
◆第1ステージ最終節◇04年6月26日◇横浜国際◇5万9728人
横 浜 | 1 | 0-0 1-0 | 0 | 鹿 島 |
後半16分【横】安貞桓
◆横浜のメンバー
▼GK 榎本達也
▼DF 松田直樹、中沢佑二、那須大亮
▼MF ドゥトラ、上野良治(奥大介)、柳想鉄(中西永輔)、遠藤彰弘、田中隼磨
▼FW 坂田大輔(久保竜彦)、安貞桓
■監督 岡田武史
03年完全優勝に続く、史上初のステージ3連覇を達成した。ホームでの鹿島戦後半16分、FW安貞桓(28)が左サイドでパスを受けて4試合連続ゴールを決めた。交代枠3人を使い切る総力戦で貴重な1点を守り1−0で勝った。勝ち点2差で逆転優勝を狙っていた磐田を振りきった。岡田武史監督(47)は就任以来3S連続で優勝を果たした。横浜は国内外で公式戦29試合を戦い抜いての頂点となった。
◆チャンピオンシップ第1戦◇04年12月5日◇横浜国際◇6万4899人
横 浜 | 1 | 0-0 1-0 | 0 | 浦 和 |
後半21分【横】河合竜二
◆横浜のメンバー
▼GK 榎本達也
▼DF 松田直樹、中沢佑二、河合竜二
▼MF 中西永輔、ドゥトラ、上野良治、奥大介、田中隼磨
▼FW 坂田大輔、清水範久(山崎雅人)
■監督 岡田武史
DF河合竜二(26)が男になった。02年オフに戦力外通告を受けた古巣の浦和を相手に先発出場。J屈指の破壊力を誇る攻撃陣を食い止め、後半21分にはセットプレーからヘッドで決勝点をたたき込んだ。移籍後、出場した浦和戦は3戦連続、計260分間無失点に封じ、浦和キラーぶりを発揮しヒーローとなった。
◆チャンピオンシップ第2戦◇04年12月12日◇埼玉◇6万4899人
浦 和 | 1 | 0-0 1-0 0-0 0-0 2PK4 | 0 | 横 浜 |
後半31分【浦】三都主アレサンドロ
◆横浜のメンバー
▼GK 榎本達也
▼DF 松田直樹、中沢佑二、河合竜二
▼MF 中西永輔、ドゥトラ、上野良治、奥大介、田中隼磨
▼FW 坂田大輔、清水範久(山崎雅人)
■監督 岡田武史
210分の激闘を戦い抜き、最後のチャンピオンシップ(CS)を制した。岡田武史監督(48)のもと、チーム一丸となって2年連続年間優勝を勝ち取った。浦和との第2戦はまさに死闘。後半29分にMF中西が退場。直後の同31分に先制点を喫した。90分を終え、2戦合計で1-1となり延長戦へ突入。それでも決着がつかず、CS史上2度目のPK戦を、GK榎本がPK2本を止める活躍。最後はドゥトラがコロコロPKを決め4-2で勝利。周到な準備と的確な采配で劣勢の前評判を覆し、岡田マリノスの強さを見せつけた。
◆2013年 首位で残り2節 V目前も残り2試合2連敗で優勝逃す
◆第33節◇13年11月30日◇横浜国際◇6万2632人
横 浜 | 0 | 0-0 0-2 | 2 | 新 潟 |
後半27分【新】川又
後半48分【新】鈴木
◆横浜のメンバー
▼GK 榎本哲也
▼DF 栗原勇蔵、ドゥトラ、小林祐三、中沢佑二
▼MF 兵藤慎剛(藤田祥史)、中町公祐(ファビオ)、斎藤学、中村俊輔、富沢清太郎
▼FW マルキーニョス
■監督 樋口靖洋
本拠地優勝のチャンスを逃し、優勝争いは最終節に持ち越された。勝てば無条件で優勝だった横浜は、攻め続けた後半の相次ぐ逸機が響いて0-2で新潟に敗れた。J1リーグ戦史上最多となる6万人超の観衆の前で9年ぶりの優勝は決められなかった。
◆第34節◇13年12月7日◇等々力◇2万151人
川崎F | 1 | 0-0 1-0 | 0 | 横 浜 |
後半9分【川】レナト
◆横浜のメンバー
▼GK 榎本哲也
▼DF 栗原勇蔵、ドゥトラ(端戸)、小林祐三、中沢佑二
▼MF 兵藤慎剛(佐藤)、中町公祐(藤田祥史)、斎藤学、中村俊輔、富沢清太郎
▼FW マルキーニョス
■監督 樋口靖洋
2度目の勝てば優勝の大一番でも敗れ、中村俊輔は号泣した。試合終了直後、両手をピッチについてひざまずいたまま起き上がれない。約20秒後、ようやく歩き出すが、整列でも両手を膝につき、顔を上げることができなかった。「力ないし、ふがいないし。残念な気持ちしかない」。サポーターに激励の声を掛けられると、また涙があふれた。
このシーズンのリーグ優勝は広島にさらわれたが、天皇杯の決勝ではその広島に2-0の完勝。最後の国立開催で通算7度目の優勝を飾り雪辱を果たした。
◆2019年 残り3節で首位浮上 11戦負けなし7連勝で15年ぶりのリーグ制覇
◆最終節◇19年12月7日◇日産スタジアム◇6万3854人
横 浜 | 3 | 2-0 1-0 | 0 | 東 京 |
前半26分【横】ティーラトン
前半44分【横】エリキ
後半32分【横】遠藤
◆横浜のメンバー
▼GK 朴一圭
▼DF 松原健、チアゴ・マルチンス、畠中槙之輔、ティーラトン
▼MF 和田拓也、喜田拓也、マルコス・ジュニオール
▼FW 仲川輝人、エリキ、マテウス
■監督 アンジェ・ポステコグルー
超攻撃的サッカーが2年目で結実し、15年ぶりの頂点に立った。ポステコグルー監督1年目の昨季はリーグ2位の56得点を挙げたが、失点がワースト3の56で12位に終わった。しかし、今季は序盤から守護神を朴一圭に替え、ハイライン、ハイプレスの守備が安定。つなぐサッカーもチームに浸透し、第20節までに2位につける好調ぶりだった。しかし得点王だったエジガル・ジュニオが負傷離脱するとすぐに3連敗。首位東京とは9差と開いた。だが、コンスタントに得点を挙げるマルコス・ジュニオール、令和初ゴールを挙げた仲川輝人の成長、そして夏の補強で獲得したエリキ、マテウスが機能し、第24節の名古屋戦を5-1で大勝すると、第32節の松本戦まで3連勝→引き分け→5連勝と9戦負けなしでついに首位に浮上。第33節の昨季王者の川崎F戦に4-1で快勝し、3点差の敗戦でも戴冠という状況で王手。最終節で2位東京を3-0で下し、4度目のリーグ優勝を決めた。