J2新潟にJ1清水から期限付き移籍で加入したFW鄭大世(36)が26日、新潟での練習に初参加した。今夏の補強4人目の鄭大世はこれまで、海外リーグでのプレー経験や北朝鮮代表として10年W杯南アフリカ大会へ出場するなど実績は十分。抜群の得点感覚とアクロバティックなプレーでゴールを狙うストライカーが、J1復帰を目指すチームの一員となる。

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鄭大世が魂のこもったプレーでチームを引っ張る。「新潟は歴史あるクラブ。ゴールに対する執着心を見せ、勝利に貢献したい」。合流初日は左太もも裏の負傷を考慮し、ボール回し以外はランニングなどの別メニュー調整となったが「練習からしっかりコミュニケーションを取り、自分の特徴を知ってもらいたい。ここからコンディションを上げていく」と笑顔を見せた。

野性味あふれる姿は迫力満点。06年にJ1川崎Fに入団して以来、その強靱(きょうじん)な肉体を生かしたプレーでスタジアムを沸かせてきた。北朝鮮代表として臨んだ10年W杯、予選リーグ第1戦のブラジル戦(1●2)ではヘディングで得点をアシストした。その代表でともに戦い、02~04年の3年間新潟に在籍した先輩・安英学氏(41)からは、新潟加入後に激励を受けた。「(新潟は)良いクラブ、良い街だと言われた。尊敬する人からの言葉を胸に、練習から全力で臨みたい」と言葉に力を込める。

清水では今季、リーグ戦2試合、カップ戦2試合の出場にとどまっていた。「練習試合では誰よりも点を決めていたのに公式戦に出場できず、選手としてこのまま終わってしまうのかと考えていた」。歯がゆい日々が続く中、新潟からオファーが届いた。「『まだ選手を続けていいんだ』とうれしくなった。ここでベストを尽くしたい」と意気込む。玉乃淳GM(36)は「得点を奪え、存在するだけで勝利をもたらしてくれる選手。中心となってプレーしてもらう」と、実績十分のゴールゲッターに期待する。

海外挑戦を経て15年にJ1清水に移籍。J2降格の16年には26得点を挙げ得点王となり、1年でのJ1復帰に貢献した。鄭大世は「あのJ1昇格のうれしさを新潟で味わいたい。自分のやるべきことは得点にかかわること。勝利のために周りにはどんどん質の高いプレーを要求していく」。上位浮上を目指すチームに心強いストライカーが加わった。【小林忠】