FC東京の若きDFリーダーの復調が待たれる、五輪世代のDF渡辺剛は、9日の鹿島戦でベンチを外れた。対する鹿島DF町田浩樹は貴重な先制点を奪うなど、出色のパフォーマンスだった。

監督交代後に負けなしの鹿島と、これでリーグ5連敗の東京。チームの調子を映したかのような、2人の対照的な試合だった。

東京は苦境にある。持ち味の堅守が崩れ、リーグ戦では2試合連続の3失点。長谷川監督はこの日、パフォーマンスが上がらない渡辺をついにベンチから外した。CBにはDF森重真人とDFジョアン・オマリが入るも、オマリがCKの競り合いで町田にやられて失点した。空中戦を得意とする渡辺は、どんな思いでこの瞬間を見届けたのだろうか。

東京五輪世代のU-24日本代表では、直近となる3月の活動にそろって招集されている。代表でも経験を重ねた渡辺は「引っ張る立場にならないといけない」と、年長組として生まれた自覚についても語っていた。チームでは副将として、試合中にキャプテンマークを巻くことも多い。一方でチームを支えようという責任感が強まるあまり、自身のプレーにわずかに粗さが出た。小さなほころびが失点に直結するCBだけに、渡辺が背負うものは大きい。

新加入のDFブルーノウヴィニが合流してCBの層は厚くなったものの、上位進出のためには背番号4がキレを取り戻すことが必須だ。19年シーズンは新人ながら夏にレギュラーらの座をつかみ、森重とのCBコンビで優勝まであと1歩のところまでいった。渡辺の存在が、厳しい状況にあるチームがふたたび上向くためのカギを握っている。

【岡崎悠利】