55歳のカズが、開幕戦のピッチに立った。鈴鹿ポイントゲッターズのFWカズ(三浦知良)は13日、ホームのラインメール青森戦に先発出場。後半20分の交代まで65分間、チームのために走り回った。

カズ自身はシュート数0も、終盤の2ゴールで2ー0の勝利。カズとチームが、J3入りへ好スタートを切った。

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【写真特集】JFL鈴鹿カズ、37年目のシーズン開幕!55歳15日の最年長出場

背番号11にスタンドが沸いた。開幕戦の緊張からか、前半から苦戦する鈴鹿。それでも、センターFWのカズが中盤まで下がってパスを受けると歓声、相手との接触で倒れれば悲鳴、ミスをすればため息が響いた。

後半20分に交代するまで、シュート数は0。あと少しでヘディングシュートという場面はあったが、チームとともにほとんど見せ場はなかった。それでも、55歳がピッチを駆け回る姿は特別。「カズ~!」「頑張って~!」。クラブ記録1308人の3倍以上、4820人で埋まった観客席が揺れた。

カズにとっても、特別な試合だった。昨年、横浜FCではリーグ戦出場1分だけ。出場機会を求め、移籍先に選んだのが兄泰年氏が監督を務める鈴鹿。1月31日の合流以来、17年を最後に立っていないリーグ開幕戦のピッチを目指し、5年ぶりに出場を果たした。

切れ味鋭いドリブルと豪快なシュート、かつて日本中を魅了した姿はない。それでも、55歳で20代の選手と同じトレーニングをこなし、自身の成長を求めて情熱を燃やし続ける。そんな姿は、中年から壮年にかかった往年のファンを元気づけ、子供たちは無条件にそのかっこよさに憧れる。

55歳15日で、東京などで活躍したFWアマラオがFC刈谷時代に作った43歳9日のJFL最年長記録を大幅に更新した。もっとも、J1でもJ2でも同じ記録の保持者。来年J3昇格がかなえば、全国リーグ全4部(JFL以下は地域リーグ)制覇も可能だ。

試合はカズ交代後の2得点で鈴鹿が勝利。相手の退場に助けられた面もあるが「勝てたことは大きい。次につながる」と話した。もっとも、自身のパフォーマンスについては「最後はガス欠したし、まだまだ」と少しも満足はしていない。

チームに同行していた元日本代表FW武田修宏氏は「去年1分で試合勘もなくなっているのに、60分以上出場はすごい」と舌を巻いた。兄泰年氏も「しっかり準備し、プレーしてくれた」と感謝した。「チームの勝利、J3昇格のために試合に出て、ゴールしたい」。チームを変え、リーグを変えても、カズの挑戦は終わらない。【荻島弘一】

◆カズのシーズン開幕戦 リーグ開幕戦に出場したのはJ2横浜FC時代の17年以来5年ぶり。17年は50歳の誕生日だった2月26日の松本戦に先発し、2トップの一角として後半20分までプレー。シュートを1本放つなど、1-0の完封勝利に貢献した。48歳だった15年も群馬戦で先発し、後半20分までプレー。ゴールを決めて「カズダンス」を披露することはできなかったが、味方の先制ゴールに「ゆりかごダンス」。プロ30年目のベテランFWの前線からの献身的な守備もあり、チームは1-0で白星発進を飾った。カテゴリーは違うが、これでカズの開幕スタメン試合は3試合連続の無失点勝利となった。