初の師弟対決は、“弟”のセレッソ大阪小菊昭雄監督(46)に軍配が上がった。

ヴィッセル神戸の成績不振により、この試合から指揮を執ったミゲル・アンヘル・ロティーナ新監督(64=スペイン)は、19、20年にC大阪監督を務めていた。その時のコーチが小菊監督だった。

2人は試合前に握手をかわし、試合後も小菊監督から駆け寄り、あいさつ。師匠から奪った価値ある勝利について、記者会見では“激闘”という言葉で表現した。

【詳細スコア】神戸-C大阪

「一言でいえば、激闘につきる。前半のプランは積極的にボール、ゴールを奪いに行く。自分たちが積み上げてきたサッカーを存分に発揮してくれた。交代選手を含めて、全員がハードワークしてくれた。自己犠牲した結晶が、今日のクリーンシート(無失点)につながった」

小菊監督は、前日9日の取材対応で「このタイミングで、たくさんの勉強をさせていただいた恩師と対戦できることはうれしい。(ロティーナ監督にとって)1試合目がセレッソということで、不思議な縁も感じます」と語っていた。

試合は前半27分、C大阪がFW加藤陸次樹(むつき、24)の今季初ゴールが飛びだし、そのまま逃げ切った。無失点は開幕8試合目で今季初めてだった。

昨年8月にコーチから内部昇格した小菊監督にとっては、ノエスタでは初采配だった。神戸市で生まれ育った滝川二高出身の指揮官にとっては、地元のスタジアムで自身の成長を見せられたことも、今後の財産になる。

不振を極める神戸は三浦元監督、リュイス前監督、そして今回からロティーナ監督への交代に踏み切った。だが、今季初勝利は遠かった。クラブワーストを更新し続ける、J1開幕から10戦未勝利(4分け6敗)となった。