病を乗り越えたなでしこが、ピッチに帰ってきた。昨年5月にバセドー病(甲状腺機能亢進=こうしん=症)を公表していたINAC神戸FW京川舞(28)が、16日にノエビアスタジアム神戸で行われたYogibo WEリーグ第17節・長野戦に先発出場した。

「世界の舞台に立ったわけじゃないのに、それと同じくらいのうれしさがありました」。約1年ぶりのピッチは、WEリーグデビュー戦。日本代表での経験と比べられないくらい、こみあげるものがあった。

前半32分。中央でパスを受けると、FW田中の決勝点をアシスト。「外から試合見ることが出来たからこそのポジショニングなのかな」。2月にチームに合流し、前節からベンチ入り。進化した姿で帰ってきた。

医者からは復帰まで半年や1年と言われたが、「2カ月ぐらいで行ける」と自分を追い込んでいた。「こんなに時間がかかると思っていなかった。1カ月ごとに苦しくなってきて、ためこんでしまった。最初の2、3カ月はきつかったかなと思う」。それでも自らと向き合い続け、弱かったハムストリングの強化など、地道に励んできた。

この日は後半26分に交代。サポーターから温かく労われた。「拍手がおかえりと言っているように聞こえて、とてもうれしかったです」。1-0と競り勝ち、チームは4連勝。首位を快走するINACに、待ちに待った笑顔が戻ってきた。【磯綾乃】