宮市のために-。一丸となった横浜が、鹿島との首位攻防戦を2-0と制した。前半37分にFWエウベルが先制点を奪うと、日本代表でも活躍したMF岩田が後半6分に右足のミドルシュートで追加点を奪った。リーグ戦9試合負けなし。残り11節で2位鹿島との勝ち点差を8に広げ、優勝へまた1歩前進した。

横浜には絶対に負けられない理由があった。前日、日本代表戦で負傷したFW宮市亮(29)の診断結果が「右膝前十字靱帯(じんたい)断裂」だった。選手生命を左右しかねない大けがの再発に、チームはショックを受けた。

試合前のアップでは、選手全員が宮市の背番号17の付いたユニホームを着用した。岩田がチームの思いを代弁する。「亮君のためにも出し切ると思っていたし、どんな形でもいいから勝つと思っていた」。

宮市は診断を受け、一時は現役引退に気持ちが傾いていた。「かける言葉も難しかったけど、復帰へ決断してくれた。自分たちは待つだけ」と岩田。韓国戦から中2日という強行軍にも疲れた様子を見せず、西村とともに先発出場。MF水沼、藤田も後半途中から出場し、宮市を思って懸命に体を張って戦った。

その宮市は、マスカット監督に「ピッチ外でできることを最大限やりたい」と伝えているという。試合後に17番のユニホーム姿で会見した同監督は目を潤ませながら「大けがなのに、もうチームのことを考えられる。素晴らしい人間。誇りに思う」。宮市に優勝カップを抱かせるため、チームの結束力はより強まった。

○…右膝前十字靱帯を断裂する大けがを負った宮市が、サポーターから温かい励ましのメッセージを受け取った。横断幕に力強い字体で「トリコロールの宮市亮 再びピッチで輝け待ってるぞ」と書かれた。試合後の会場に姿を現した宮市はサポーターの声援に感謝し、目に涙を浮かべた。その後、横断幕を手に仲間やスタンドのサポーターたちと記念撮影に収まった。