アルビレックス新潟の03年以来2度目のJ2優勝が決まった。

この日、2位横浜FCが金沢に敗れた。最終節を残し勝ち点差4とし、横浜FCの逆転の可能性がなくなった。ここまで勝ち点は81。リーグ最多71得点を奪い、失点は2番目に少ない34失点。就任1年目の松橋力蔵監督(54)は超攻撃的サッカーを浸透させ、チームを6年ぶりJ1復帰に導いていた。19年前は最終節でJ2優勝とJ1昇格を同時に決めたが、今回は1試合を残しての優勝決定となった。

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かつて新潟を指揮した柳下正明監督(62)率いる金沢に横浜FCが敗れ、試合のない新潟のリーグ制覇が決まった。ブラジル人アタッカーの攻撃力を生かした03年とは異なるボールを保持しながら攻め込むスタイルを貫いての優勝。クラブ関係者は「(松橋)監督は次の相手(町田)の分析を優先させていると思うから、横浜FCの結果は気にしていないと思いますよ」と話す。J1昇格を決めた8日の夜も、松橋監督は特別なことはせず、いつも通りにスーパーで買い物をして就寝。常に「次の相手に勝つこと」に力を注いできた。

コーチから監督に昇格し、初めてプロの監督業に挑んだ松橋監督。今季活動開始前のミーティングでは、昨季最終戦後に撮影した集合写真を選手たちに見せ、こう切り出した。「新潟の試合は4万人が入る時代があった。ガランと空いた席を、また満杯にしよう」。あれから約1年。6年ぶりJ1復帰を決めた8日の仙台戦には5年半ぶりに3万人を超えるサポーターがホームスタジアムに集まった。前日15日の東京V戦にも敵地に約8000人が集結し、選手を後押ししてくれた。

松橋監督はアルベルト前監督(現J1東京)が植え付けたポゼッションサッカーに「縦への速さ」をプラス。ポジションは関係なく、どの位置からでもゴールを見ることを意識付けした。また、「相手の裏をかく」というサッカー本来の“楽しさ”も再確認させた。堀米主将は「リキさん(松橋監督)は相手との駆け引きをより重視する。チームは正直者ではない、細かい駆け引きを使えるようになってきた」とチームの成長を話す。

「個の能力と協調性は同時に成長できる。チーム力を高めながら貪欲に勝利を求める」。日々の練習は「J1基準」。年齢や経験値は関係ない。全選手に高い目標設定を求めた。強度を強めた日々の練習で地道に力をつけ、つかんだ19年ぶり優勝。23日の今季最終戦、ホームでの町田戦でスタンドを埋め尽くす大サポーターにシャーレを掲げて、来季J1へのスタートを切る。