J2アルビレックス新潟の田中達也アシスタントコーチ(39)が、指導者として初めて臨んだ今シーズンを振り返った。20日にはフクダ電子アリーナで行われるオシム元日本代表監督追悼試合に出場する予定。新潟のJ2優勝、J1復帰が決まったシーズン終了後に以前から痛めていた左膝のクリーニング手術を受けたばかりだが、追悼試合では現役時代と変わらない全力プレーをファンに見せることを約束した。

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「ワンダーボーイ」が再びピッチに立つ。田中コーチはシーズン後に古傷の左膝を手術。10月29日の新潟のJ2優勝・J1昇格記念パレードでは松葉づえをついて参加したが、翌日から松葉づえを使わずに練習場に立っている。

20日のオシム元監督追悼試合には「オシムジャパンレジェンド(日本代表OB)」のメンバーに入り、千葉OBチームと対戦する。

「シーズン通して選手たちと居残りでシュート練習をしてきたので(ゴールは)チャンスがあれば。久しぶりに会える選手もいるので楽しみ。5分は出たい。現役時代と同じように全力で走りたいです」。

オシムチルドレンの1人。代表で06~07年に指導を受けた。常に考えながら走ることを求められたが、量も求められた。「止まっていてはだめ。分からないなりに走り続けろ」とよく言われたという。

「走力はもちろん、トレーニング中も気は抜けず、4対4がいきなり5対5になったりもした。ジェフの選手は慣れているが僕とかは初めてだったのでビックリした。新鮮でした」。

昨年、21年の現役にピリオドを打ち、今年から指導者としての道を歩む。三戸、小見といった若手らの居残り練習では一緒にシュートを打ち込むなどして現役で培ったスキルを伝えている。

「チーム、監督、選手をどうやってサポートするかを一番に考える。その中で自分のサッカー観や経験を少し加味できれば。攻撃陣がゴールするとチームの雰囲気も良くなる。選手のうれしそうな顔を見るともっと自分もやらないと、と思う」。

コーチ1年目でJ2優勝、J1復帰を経験した。

「(言葉掛けは)まだまだ、自分に足りない部分。昨年まで選手でやっていたので、それに近い目線で話して…。でも話していいところなのか、だめなところなのか。日々、考えながらやっています」。

7日のJリーグアウォーズでは功労選手賞を受賞。

「周りの人の助けや助言がなければ、このすばらしい賞の受賞はなかった。感謝の気持ちを忘れずに第2のサッカー人生にもつなげたい」。

松橋監督は戦術に加え、モチベーターとしての手腕を発揮し、就任1年目で最高の結果につなげた。身近な、いいお手本から学び、盗み、試行錯誤しながら指導者としてのスキルを磨いていく。【小林忠】