神村学園(鹿児島)が13大会ぶりの8強を決めた。

日大藤沢(神奈川)と1-1でPK戦に入り、GK広川豪琉(たける、3年)が1人目をセーブ。主将のMF大迫塁(3年)からキャプテンマークを預かった守護神が準々決勝進出に貢献した。世代NO・1ストライカーのFW福田師王(しおう、3年)は無得点も、PK戦で3人目のキッカーとしてゴールを揺らした。

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左腕にキャプテンマークを巻いた守護神が、激闘にケリをつけた。神村学園にとっては今大会初のPK戦。GK広川は「相手の助走を見たら『あ、左にくる』」と、瞬時に勘を働かせた。的中。その左腕で日大藤沢の1人目を止めた。

主将はセレッソ大阪入団が内定しているMF大迫。先攻1人目でPKを成功させた大迫は、キックを終えた後に青い腕章を広川に巻いた。「6年前の先輩がそうしていたのを見て、これいいなと思った。PKはキーパーが主役です。『ヒーローになってこい』という気持ちで渡しました」。

大迫の言葉通り、広川がヒーローになった。「(大迫)塁からチームを助けてくれと。塁がそう言ったから、ここは俺が止めるしかないという気持ちだけでした」。2人目以降は両チーム全員が成功し、5-3で勝利。守護神は「自分は確実に運がいい。PKになったら全部止めにいくつもりでいきます」と、キャプテンらしく? 言い切った。

13大会ぶりの8強入り。ギリギリの戦いを制し、準々決勝に駒を進めた。ドイツ1部・ボルシアMGへの加入が決まっているFW福田も命拾いだ。80分間では無得点だったが、PKでは3人目でゴールネットを揺らした。福田は「この試合をきっかけに、またチームが一体になれました」と胸をなでおろした。

あと1勝で国立競技場での準決勝。1つ目の悲願が見えてきた。世代NO・1ストライカーの福田には、心強いチームメートたちがいる。【只松憲】