前回大会準優勝の大津(熊本)がPK戦までもつれた激闘の末、今夏高校総体覇者の前橋育英(群馬)を下して、2大会連続の4強入りを果たした。0-0で今大会2度目のPK戦に突入。5人全員が冷静に決めて、前回大会準々決勝で敗れリベンジに燃える相手を返り討ちにした。

高校年代最高峰の高円宮杯U18プレミアリーグ西地区で戦う公立の雄、大津が、苦しみながらも2大会連続で4強入りした。退場者が出て10人ながら個人技に勝る前橋育英に攻め手を欠きスコアレスも、PK戦の死闘を制した。

1人失敗の相手に対して、5人全員が成功した。「PK研究」がテーマの卒論を昨年11月に提出したGK西星哉(3年)が「どこに蹴るか、どっちのコースのほうが入る確率が高いのか、止められるのか、データを見て研究した。プレミアリーグを40試合見ました」という“卒論効果”で1本阻止。最後はMF稲田翼(2年)がゴール左上に突き刺して、前回も準々決勝で倒した相手を下して、国立へと勝ち上がった。

前回大会決勝では、青森山田にシュート0本で0-4の完敗。だが、その屈辱からスローガン「超越」を胸に再起して、今回も怒濤(どとう)の快進撃だ。大津OBで、20年就任の山城朋大監督(33)は「僕らもやりたいサッカーが出来て4強まで来られたわけではないが、今大会は履正社さんだったり、いいチームが敗退している中で、2年連続来られたのは、熊本の中学年代の先生方を含めていろいろな方が支えてくれたおかげだと思う」と感謝した。

大津は、県による公立校のスポーツ強化の一環で、87年にサッカーの拠点として普通科体育コースが増設されて台頭。帝京(東京)主将で83年度選手権を制した平岡和徳氏(現総監督=57)が、93年に監督就任して強豪校に育てた。13年の初昇格を経て、18年から3度目となるプレミアリーグ西地区に参戦している。この日、MF浅野力愛(りきあ、3年)を出場停止で欠いたが、全国レベルでもまれた経験と、強度が落ちない分厚い選手層で勝ちきった。

7日準決勝(国立)は、東山(京都)と対戦する。【菊川光一】

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