セレッソ大阪は1日、ベルギー1部シントトロイデンの元日本代表MF香川真司(33)の完全移籍による加入を正式に発表した。ドルトムントに移籍した10年6月以来、約12年半ぶりの古巣復帰。5日に会見を行い、週明けにも大阪市内でのチーム練習に合流予定。背番号は後日発表となる。

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「日本に帰るなら、セレッソしかありません」。関係者によると、香川は今回の復帰要請にあたり、C大阪にはこう最終返答をしたという。

C大阪は20、21年に続き、今冬も改めて復帰オファーを出した。10年夏に欧州に旅立った香川に、近年はほぼ継続的に復帰の意思を確かめてきた。それでも欧州で挑戦したい思いが強く、復帰は実現しなかった。

香川は22年ワールドカップ(W杯)カタール大会までは、欧州でプレーすることを決めていた。14年ブラジル、18年ロシアと2大会連続で出場した大舞台へ、3大会連続の選出を目指していた。だが、森保ジャパンに選ばれず、その結論が出た今冬こそが、これまで熱意を示し続けてくれたC大阪へ、香川が応えるタイミングだった。

一時期の香川には、Jリーグのあるクラブからビッグオファーが届き、中東や米国のクラブも興味を示していた。マネーゲームでは勝てないC大阪側は「もしかして、うちには帰ってこないのでは」という危惧があった。

だが、ここで復帰の決定打になったのが、21年8月にコーチから内部昇格したC大阪の指揮官、小菊昭雄監督(47)の存在だった。高校時代の香川をスカウトした恩人で、以後の2人は家族同然の深い信頼関係を築いてきた。

シントトロイデンに所属していた昨春、香川は3週間もC大阪の練習に特別参加した。これは香川が欧州に移籍して初めて。小菊監督でなければ、異例の合流はなかった。その練習環境は熱気があり、想像を超えた競争があった。

小菊監督が就任後、ルヴァン杯は2年連続準優勝が示す通り、実績のあるMF清武も特別扱いはされず、対等な競争の末にベンチ入り18人が決まる。

一部では香川がC大阪で特別扱いされ、若手の出番を奪うという指摘もされているが、小菊監督は香川との関係があるがゆえに、より厳しく、戦力の見極めをするのは間違いない。逆にシントトロイデンよりも出番が減り、引退の危機に立たされるかもしれない。その健全な環境だからこそ、香川はC大阪復帰を決断したのだろう。

香川は既に日本に帰国しており、メディカルチェックも終え、早期の練習合流を希望しているという。マンチェスターUでは、プレミアリーグでアジア人初のハットトリック達成など、記録や記憶に残る活躍をしてきたレジェンド。3月に34歳を迎え、Jリーグでどんなプレーを見せてくれるか楽しみだ。【横田和幸】