セレッソ大阪に12年半ぶりの復帰が決まった元日本代表MF香川真司(33)が5日、東京都内で記者会見を開く。

香川は高校2年だった06年1月、C大阪にプロ契約で入団。当時C大阪でゼネラルマネジャー(GM)を務め、現場の最高責任者だった西村昭宏氏(64=現JFL高知ユナイテッドGM)が、香川の当時や今後について語った。

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西村氏はC大阪の前身ヤンマー出身で、現役時代は日本代表経験のあるMF、DF。C大阪監督時代の01年度天皇杯では準優勝に導き、04年12月から07年5月まではチーム統括部でGMの重責を担った。

当時の部下が、スカウトとして香川を発掘した現在の小菊昭雄監督(47)だった。香川と小菊監督の関係を最も知る直属の元上司でもある。

今回、香川のC大阪復帰を聞いた西村氏は「一ファンとして、本当に明るい話題だし、うれしい。今の真司がどんなコンディションにあるか分からないが、45分でもいいから以前のようなプレーができれば。少なくとも瞬間、瞬間はできるのでは」と、声がはずむ。

まだ高校生で当時、知名度は全国区ではなかった香川の入団を、直談判してきた小菊監督の言葉が忘れられないという。

「彼を獲得しないと、僕は一生後悔する。お願いします」。こう言って西村氏を動かし、最終的に獲得に至った。その2人が17年の時を経て、初めてJリーグで監督-選手の関係にたどり着いた。

「元々、今季の小菊監督にはタイトル獲得がミッションにあった。昨年の選手がほぼ残り、ここに真司が戻ってきた。監督としては、勝つしかないという重圧がかかるでしょう。真司を受け入れたのも、戦力になると判断したからこそで、甘い気持ちで賛成したのではないでしょう。ただ情に流されない監督だから、状態が悪ければベンチ外もあるでしょう」

C大阪は昨季の終盤、後半終了間際の失点が続いてリーグは3位以内を、ルヴァン杯は優勝をあと1歩のところで逃した。小菊監督の采配にも課題を残した。そこで注目したいのが香川の存在だという。

「C大阪に必要なのは、いわゆる、試合の終わらせ方です。真司はドルトムントやマンチェスターUで優勝し、勝ち方を学んできた。俗にいう勝者のメンタルで、試合を終わらせるオプションとして、終盤に真司を投入する手もある。それが先発であっても、ピッチをまとめるには勝者のメンタル、経験が必要なのです」

入団当時から香川は、周囲に影響されず、自分を確立させていたという。選手寮での食事の際、1学年下のFW柿谷曜一朗(33=現J2徳島ヴォルティス)は10分ほどで終わらせたが、隣に座った香川は40~50分もかけていた。どちらがいい、悪いではなく、あまりにも対照的な2人の行動は、今も西村氏の記憶に残っているという。

その考えた末に出した香川の古巣復帰。7日にもチーム練習に合流する予定で、クラブに有形無形の影響をどう与えていくか。30周年を迎えたJリーグが盛り上がりそうだ。