発足から丸30年を迎えたJリーグは、今季が31年目。注目は、欧州からC大阪に12年半ぶりに復帰した元日本代表MF香川真司(33)だ。マンチェスターUなどで実績を築いたレジェンドの帰還により、神戸MFアンドレス・イニエスタ(38)や、G大阪FW宇佐美貴史(30)、東京DF長友佑都(36)らとの夢対決が話題を呼びそうだ。

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プロ5年目の21歳だった10年7月に海外へ初挑戦した香川がJリーグ、C大阪へと戻ってきた。3月17日に34歳を迎える元日本代表の復帰により、多くの夢対決が実現することになる。

復帰会見で香川は「どのチームとも対戦したい。誰かとか、どのクラブとかはない」と言及を避けたが、神戸イニエスタとの日本での初対決は感無量だろう。

小学生時代から華麗なスペインサッカーに魅了された。高校2年の16歳でC大阪とプロ契約を結ぶと、選手寮ではイニエスタの映像を見続けた。当時は「メッシよりも、イニエスタですね」と、高度な技術を操る世界の司令塔に心酔した。

香川がマンチェスターU在籍時の12年8月、バルセロナとの親善試合で対戦し、イニエスタとはユニホームを交換した。「あれは宝物」「イニエスタは僕のアイドル」という香川の発言が、海外メディアで報じられた。

イニエスタは18年夏、バルセロナから香川の故郷に本拠を置く神戸に移籍し、契約最終年の今季限りで退団や引退の可能性がある。ぎりぎり間に合ったJリーグでの夢対決。ともにけがなどなければ、6月10日のリーグ戦で実現しそうだ。

4学年下のG大阪宇佐美とは、互いのドイツ時代に対戦はあったが、日本では初顔合わせになる。

欧州に旅立つ前の10年3月14日、リーグ戦で公式戦初の大阪ダービーを体験した香川は、ホームでフル出場し、1-1で引き分けた。17歳の宇佐美はベンチ入りも出場機会なし。両軍の誇りを懸けたカリスマ対決は、早ければ3月26日のルヴァン杯か、5月3日のリーグ戦で実現しそうだ。

2学年上の東京長友とは、互いのトルコ時代に対戦経験はあるが、日本では10年3月20日のリーグ戦以来、13年ぶり2度目。08年5月24日の親善試合、コートジボワール戦で日本代表デビューした2人は、香川が「最高の同志」、長友が「戦友」と呼び合う。早ければ、3月8日のルヴァン杯で対戦する。

「(欧州で)Jリーグをよく見ていた。競争力は非常に上がっている。ただ、映像で見るのと、やってみるのではまったく違う」という香川は、J1では実質1年しか経験がなく、11試合7得点だけ。今季は半数近くのクラブとは初対決となる。マンチェスターUでは優勝やアジア人初のハットトリックも達成したレジェンドは、日本で新たな歴史を刻む。【横田和幸】

◆香川真司(かがわ・しんじ)1989年(平元)3月17日、神戸市生まれ。FCみやぎバルセロナ所属時の06年、高校2年でC大阪入団。10年7月からドルトムント、マンチェスターU、ドルトムント、ベシクタシュ、サラゴサ、PAOK、シントトロイデンに所属。08年北京五輪、W杯は14年ブラジル、18年ロシア大会代表。国際Aマッチ通算97試合31得点。175センチ、68キロ。

【Jリーグから海外移籍した後に復帰した主な選手】

◆FW三浦知良(カズ) 26日に56歳になる世界のレジェンドは今も現役。現在のポルトガル2部を含めて海外で5カ国に在籍。絶頂期のV川崎(現東京V)時代の94年7月、アジア人初のセリエA選手としてジェノアに1年間の期限付き移籍。帰国後も活躍した。

◆MF小野伸二 浦和から01年7月にオランダ1部フェイエノールトへ、08年1月にはドイツ1部ボーフムへ。オーストラリア1部ウエスタンシドニーにも在籍し、9月で44歳になる今季も札幌で現役続行。

◆FW大久保嘉人 C大阪から05年1月、スペイン1部マジョルカへ期限付き移籍し、06年6月に1年半ぶりに復帰。09年1月には神戸からドイツ1部ウォルフスブルクに移籍し、半年で復帰。その後に所属した川崎Fで3年連続得点王になるなど異例の成長。39歳、21年限りで引退。

◆DF内田篤人 鹿島から10年7月、ドイツ1部シャルケに移籍し、同国2部ウニオン・ベルリンを経て18年1月に古巣復帰。20年8月、32歳で引退。

◆DF長友佑都 東京から10年7月、セリエAチェゼーナに期限付き移籍し、その後は同インテルミラノ、トルコ1部ガラタサライ、フランス1部マルセイユを経て、21年9月に約11年ぶりに古巣復帰。39歳で迎える26年W杯で5大会連続出場なるか。

◆MF乾貴士 C大阪から11年8月、ドイツ2部ボーフムへ移籍し、同国1部Eフランクフルトを経て、スペイン1部エイバルとベティス、アラベス、エイバルと渡り歩き、21年8月に10年ぶりに古巣復帰。香川と同学年の34歳は今季、清水で14年ぶりのJ2に臨む。

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