今夏での退団が濃厚の神戸MFアンドレス・イニエスタ(38)が、今季のリーグで自身最長となる26分間プレーした。

3-0の後半19分から途中出場し、巧みなタッチで観衆をわかせ、チームの首位堅持に貢献した。

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今季最長26分間のプレーを終えたイニエスタは取材の最後に自ら追加する形でメッセージを送った。

「メディアの皆さんの注目や、今日のファンの皆さんからの愛情には、すごく感謝している。今後も頑張っていきたい」

退団報道で注目を浴びる中、後半19分に出番がやってきた。渡されたキャプテンマークを巻きながらピッチに入る際には、サポーターから大きな拍手が湧き起こる。

その期待にたがわぬプレーぶり。トップ下の位置で積極的にボールに絡む。パスだけでなくドリブルも仕掛け、同35分にはゴール前中央左でボールを持つと、自ら運んで強烈なシュートを放った。ゴールはならなかったが、観衆の目をくぎ付けにした。

チームメートの信頼も厚い。FW大迫が「あれだけの質を持った選手なので、僕らが良いプレーをすれば良いボールが来る」と話せば、FW武藤も「彼がボールを持ったら、必ず素晴らしいボールが出てくる」と称賛した。

今季3度目となるリーグ戦出場で、あらためて世界屈指の技術を示した主将は、「チームが首位に居続けるために、重要な勝利だった。プレーしたことをうれしく思う」と、勝利を喜んだ。なかなかプレー時間が増えない状況が続くが「準備に集中して日々を過ごしている。可能な限り良い状態で出られるように続けたい」と鍛錬は惜しまない。

自身の去就について「言えることはない。将来何が起こるかというのは、見守りたい」と、明言しなかったレジェンド。だが、6月6日に行われることが有力なバルセロナとの親善試合が見納めとなる可能性が高い。その雄姿を日本で見られる機会は確実に少なくなっている。【永田淳】