ヴィッセル神戸の主将で元スペイン代表のMFアンドレス・イニエスタ(39)が25日、神戸市内で記者会見を開き、今夏限りでの退団を正式に表明した。

神戸との契約は今季末まで残っているが、途中での退団となる。

楽天の会長兼社長でクラブの三木谷浩史会長(58)とともに、イニエスタは記者会見に臨んだ。会場には吉田孝行監督(46)ら選手も集合した。

イニエスタは「(退団は)簡単な決断ではなかった。だが、永遠の別れではない。今後は違った形、角度から神戸をサポートしたい」とあいさつした。時折、涙ぐむ姿もあった。

今後も現役は続けるという。「ここで引退する想像をしてきたが、希望通りいかないもの。まだまだ闘いたい。この数カ月間、準備できている。監督の優先順位も違うものと感じた」などと、退団する理由を説明した。

「5年前、最も大きな決断の1つをした。新たな冒険を始める決断です。スペインの外で初めての生活だった。あの決断は最高の決断の1つ。これからもそうあるでしょう。タイトル獲得や、ACL2度の出場など、さまざまな歴史を刻んできた。昨季のように苦しい時期もあった。そういう経験がより強くしてくれた」

三木谷会長は「今回、イニスタ選手が神戸、クラブを離れる決断をしましたので、ご報告をさせていただきます。7月1日、ノエスタでの札幌戦が最終戦になる予定です」と報告した。

18年夏にバルセロナから神戸に移籍した世界屈指の司令塔は、今夏で丸5年の在籍、6シーズン目を送っていた。

19年度の天皇杯優勝でクラブ初のタイトル獲得に貢献。20年のアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)ではベスト4、21年のJ1リーグではクラブ最高の3位に導くなど、ピッチ上で圧倒的な技術とリーダーシップを発揮してきた。

スペイン代表としては、計4度のワールドカップ(W杯)に出場し、10年南アフリカ大会で初優勝した。バルセロナでは欧州CLで4度も優勝している。

神戸は6月6日に東京・国立競技場で、イニエスタの古巣バルセロナと国際親善試合を行う。

◆アンドレス・イニエスタ 1984年5月11日、スペイン生まれ。12歳からバルセロナの下部組織に入り、02年プロデビュー、欧州CL4度優勝。W杯は06年から4大会連続出場、10年南アフリカ大会ではオランダとの決勝で勝ち越しゴールを挙げ、母国を初優勝に導く。18年夏に神戸に移籍し、19年度天皇杯優勝、20年ACLベスト4、21年J1リーグ3位に。J1通算113試合21得点。171センチ、68キロ。家族はアンナ夫人との間に子ども5人。