J1北海道コンサドーレ札幌の元日本代表MF小野伸二(44)の引退を受け、99年ワールドユース準優勝メンバーでJ2大宮アルディージャのGK南雄太(43)は「伸二はオレらの世代のリーダーでありキャプテン。もっとやってほしかった気持ちもあるけど、オレらの年代は常に引退と隣り合わせですから、驚きはないです」と理解を示した。

「黄金世代」と呼ばれた99年組ではグループLINEがあり、この日もみんなで小野の誕生日を祝うメッセージを送っていた。すると小野からの返信で。「今日、引退を発表します」と、インスタでの公表よりひと足早く直接知らされた。そして、思い思いのねぎらいのメッセージが寄せられたという。

高校時代には静岡学園と清水商でしのぎを削り、国体の静岡選抜では頼もしい同僚だった。準優勝メンバーで現役Jリーガーは小野、南にジュビロ磐田MF遠藤保仁(43)の3人になっていた。南は昨年5月に右アキレス腱(けん)断裂で全治6カ月の大けがをしながら、地道なリハビリを経てすでに復帰を果たしている。「伸二は先駆者みたいな存在で常に先を走り続けていた。しかもめちゃくちゃ努力家。高校時代からずっと刺激をもらってきたし、相手としても、味方としてもプレーできたことは、自分にとってかけがえのない財産」と感謝した。

柏レイソル時代に国立競技場で小野と1対1となり、あっさり決められたシーンは今でも忘れない。「とにかく、すごすぎましたからね。今、若くていい選手がどんどん出てきているけど、正直、どんなにすごく、うまくても伸二よりすごい選手はいない。後にも先にも日本人であんなにうまい選手はいない」と最大級の賛辞を送った。そして小野を累積警告で欠きながら戦い、完敗したスペインとのワールドユース決勝を思い返し、「スペインは本当にめちゃくちゃ強かったけど、もし伸二がいたら、オレらが勝っていたかもって思ったりしてしまう」と正直な想いを口にした。

最後に小野へのエールを求められると、「伸二にエールなんておこがましいですよ。でも、あれだけすごい選手だし人望もある。もしサッカーに関わるのなら、唯一無二、伸二しかできなかった経験を日本のサッカー界に還元してくれれば、ものすごい力になるはず」と今後の活躍を願った。【野上伸悟】